千葉で『個人再生』をお考えの方はご相談ください

弁護士による個人再生

「関東地方にお住まいの方」向けのお役立ち情報

千葉で『個人再生』をお考えの方は【弁護士法人心】まで

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年10月6日

1 個人再生による借金の圧縮

「転職して収入が下がってしまった」「病気で以前のように働くことが難しくなった」など、様々なご事情により、お金を借り入れる際に考えていたとおりの返済をすることが難しくなる場合があります。

無理にお金を返そうとして、生活がままならなくなってしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような場合には、個人再生をお考えください。

個人再生とは裁判所に申し立てて行うもので、認められることにより、一般的には返済額が圧縮され、圧縮された金額については長期での分割払いが可能となります。

これにより、無理なくお金を返し、生活を立て直すことができる可能性があります。

2 個人再生の効果や流れを弁護士がご説明

そうはいっても、この説明だけでは、具体的にどれくらい圧縮されるのか、本当に無理なく返せるのかはわからないかと思います。

また、個人再生を行うことでご自身の生活にどのような影響が出るか、ご不安に思われる方もいらっしゃるかと思います。

個人再生の効果や影響は、一人ひとりのご事情によって異なります。

そのため、まずは弁護士にご相談ください。

当法人にご相談いただければ、弁護士が、お伺いしたご事情をもとに個人再生の流れや見通しについて丁寧にご説明いたします。

ご質問にもお答えをさせていただきますので、遠慮なくお尋ねください。

疑問や不安を解消し、具体的にイメージをしたうえで、実際に依頼をするかご検討いただけます。

3 千葉で個人再生をお考えの方へ

千葉にお住まいの方は、弁護士法人心 千葉法律事務所が相談にお越しいただきやすい事務所です。

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個人再生に向いている人、向いていない人

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年12月5日

1 個人再生に向いているかどうか

個人再生は、裁判所で行われる債務整理の手続きです。

法律の規定に従って減額された負債を原則3年間、最長5年間で返済すれば、残りの負債は免除されることになります。

ここでは、個人再生の手続きではどのようなポイントがチェックされるのかについて、またどのような人が個人再生に向いていて、どのような人は向いていないのかについて説明します。

2 個人再生手続きのポイント

個人再生の手続きでは、法律の規定にしたがって減額された負債を所定の期間で分割返済できるかどうかを裁判所(および個人再生委員)が厳しくチェックすることになります。

チェックのポイントは、①返済するのに十分な収入があるかどうかという点と、②返済するのに十分な収入が返済期間中継続する見込みがあるのかどうかという点です。

なお、返済期間中に支出が増大し返済が厳しくなる見込みがないのかどうかという点も②に含まれます。

3 個人再生に向いている人、向いていない人の例

① 返済するのに十分な収入があるかどうか

①のチェックポイントについては、債務者ご本人に返済に十分な収入がなくても、配偶者も働いていて安定した収入があるというのであれば、その収入も含めて判断されますので、そのような場合は個人再生に向いているといえます。

他方、債務者ご本人に十分な収入がなく、確実な援助を期待できる親族もいない場合は、個人再生には向いていないということになります。

② 返済するのに十分な収入が返済期間中継続する見込みがあるのかどうか

②のチェックポイントについては、正社員として勤務し、給料も安定していて、今後数年のうちに子供が大学に進学するなど支出の増大が見込まれることがない場合(または支出が増大しても返済に余裕がある場合)は、個人再生に向いているといえます。

逆に、正社員として勤務している場合でも、例えば1年後に役職定年を迎え、それ以降は給料が大幅に減るというようなときは、個人再生には向かないということになります。

正社員であるものの歩合の部分が大きく、給料額の変動が激しい場合も同様です。

4 個人再生の際には必ず専門家に相談を

以上、向いているケース、向いていないケースの一例を紹介しましたが、向いているかどうかは厳密には専門的な知見から判断する必要があります。

ご自身のみの判断で向き不向きを決めることはせず、必ず弁護士に相談してください。

個人再生を利用できる条件

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年3月8日

1 個人再生を利用できる人とは

個人再生手続は、個人の債務者のみ利用できます。

一般的には、小規模な個人事業者、および給与所得者(サラリーマン)が利用できる手続きです。

そのため、株式会社、有限会社などの法人を経営している場合は、利用することができません。

2 債務の総額が5000万円以下であること

個人再生は、債務の総額が5000万円以下の場合のみ利用できます。

この債務の総額には、元本(元金)だけではなく、利息や遅延損害金も含まれます。

元本が大きいと、利息や遅延損害金の増加も大きいので注意が必要です。

また、住宅資金貸付債権の金額や、別除権付き債権について別除権行使によって弁済を受けることが見込まれる金額は、債務の総額に含まれません。

申立て時点では債務総額が5000万円以下であっても、再生計画認可時に5000万円を超えてしまった場合は、再生計画が認可されません。

債務の総額が5000万円を超えてしまっている場合、通常の民事再生手続きの利用を検討することになります。

もっとも、通常の民事再生は予納金が非常に多額であるなど、利用条件が厳しいため、現実的にはあまり行われません。

3 返済の見込みがあること

個人再生は、債務の総額を大幅に減額したうえで、再生計画に従って、3~5年をかけて分割して返済をする手続きです。

そのため、将来的にも返済可能であるといえなければなりません。

申立て時点においては、将来的に継続的または反復して収入を得る見込みがある必要があります。

サラリーマンの場合、定年間近であるなどの特殊な事情がない限りは、一般的にはこの要件を満たします。

個人事業者であっても、収入が安定していれば問題ないとされます。

もっとも、再生計画認可時において、計画が遂行される見込みがないと判断されてしまった場合には、再生計画は認可されません。

申立て時点では安定した収入があり、返済想定額の支払原資を手配できていたとしても、何らかの事情で収入が減り、支払原資を手配できなくなってしまうと、個人再生はできないことになります。

このような場合、自己破産に切り替えるなどの措置が必要です。

個人再生を依頼する専門家の選び方

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年3月9日

1 弁護士と司法書士の違い

個人再生手続きを業務として取り扱っている専門家は、、弁護士と司法書士です。

ただし、弁護士は訴訟手続全般について代理人として活動する権限を有していますので、個人再生手続きにおいても代理人として手続きに関与することができますが、司法書士は、認定司法書士の場合でも簡裁民事訴訟の代理権しか有しませんので(個人再生手続きは地方裁判所の管轄です)、代理人として個人再生手続きに関与することはできず、業務として取り扱うことができるのは申立書等の書類作成の代行のみとなります。

ただ、司法書士は書類作成を代行するだけですが、裁判所からの書類の送達場所にはその司法書士の事務所を指定するのが通常ですので、その場合は裁判所からの連絡文書や書類等は司法書士事務所に届きます。

また、個人再生委員との面接についても、多くの司法書士は依頼者である債務者と同席しています。

そのため、司法書士に書類作成の代行を依頼した場合でも、弁護士に依頼した場合とそれほど変わらないサービスを受けることができます。

ただし、千葉地方裁判所およびその支部での個人再生手続きでは、弁護士が代理人として就いている場合は原則として個人再生委員は選任されませんが、そうでない場合は必ず個人再生委員が選任されることになります。そのため、弁護士に依頼する費用と司法書士に依頼する費用がそれほど変わらないのであれば、司法書士に依頼すると個人再生委員の費用の分だけ依頼者の負担が重くなるということになります。

2 弁護士の選び方

本稿では、個人再生を弁護士に依頼する場合の弁護士の選び方についてご説明したいと思います。

まず、個人再生は自己破産や任意整理と比べて件数が圧倒的に少ないですので、個人再生をほとんど取り扱ったことのない弁護士も多くいます。

そのため、本稿の執筆者が相談を受けた案件の中には、受任している弁護士が、費用の準備は完了しているにもかかわらず3~4年程度申立てをしていなかった案件や、小規模個人再生の書面決議で異議を提出されたという報告がネット上で多数上がっている業者が債権額の半数以上を有する事案で小規模個人再生を行ったため、案の定書面決議で否決されてしまった案件などもあります。

いずれも、個人再生についての受任弁護士の経験不足によるものと思われますので弁護士を選ぶ際は、個人再生についてある程度経験のある弁護士に相談することが重要になります。

3 弁護士の探し方

次に、個人再生について相当程度経験のある弁護士の探し方になりますが、その弁護士が所属する法律事務所のウェブサイトやブログ等を確認するのが手っ取り早くてよいのではないかと思います。

なぜなら、個人再生事件についてそれなりの件数を常時扱っている法律事務所の場合、個人再生について解説したページも充実していることが多いからです。

また、ご相談の際、担当弁護士に対し、単刀直入に、過去に取り扱った個人再生事件の件数や、個人再生委員として選任された実績を聞いてみるのもよいでしょう。

個人再生をした場合に債務額はどうなるか

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年12月28日

1 はじめに

個人再生手続きでは、法律が定める基準にしたがって減額された債務を、裁判所によって認可された再生計画案の内容にしたがって返済することになります。そして、この減額された債務を完済すれば、残りの部分については返済が免除(免責)されることになります。

個人再生手続きでは、自己破産と異なり、免責不許可事由というものが定められていませんので、ギャンブルや浪費といった事情があって自己破産手続きでは心配だという方でも安心して利用することができます。

本稿では、個人再生を行った場合に債務額がどのような基準によって減額されるのかについてご説明します。

2 小規模個人再生と給与所得者等再生

個人再生手続きでは、最低限返済しなければならない金額(これを最低弁済額といいます)を決める基準が3つあります。具体的には、①負債総額を基準として決まる金額、②清算価値を基準として決まる金額、③可処分所得の2年分の金額、の3つです。

これらの基準によって算出される金額のうち、最も大きいものが最低弁済額となります。

なお、上記3つの基準のうち③は給与所得者等再生のみに適用されます。

つまり、給与所得者等再生の方が適用される基準が多いということになりますが、この③の基準による金額が最も大きくなる傾向があるため、給与所得者等再生が選択されることはあまりありません。

しかし、給与所得者等再生では、小規模個人再生で行われる再生計画案についての書面決議の制度がありませんので、小規模個人再生では債権者に反対されて再生計画案が通らない可能性があるときは、給与所得者等再生を検討することになります。

3 負債総額を基準として決まる金額

左側が負債総額、右側が最低弁済額になります。

例えば、負債総額が350万円の場合は最低弁済額は100万円、700万円の場合は140万円、2000万円の場合は300万円になります。

4 清算価値を基準として決まる金額

例えば現金20万円、預金90万円、退職金見込額の8分の1が150万円、保険の解約返戻金が100万円ある場合、千葉地方裁判所では、99万円までの現金以外は清算価値に計上されますので、340万円が最低弁済額になります。

なおこの場合に、90万円の預金のうち79万円を申立て前に引き出して現金化しておけば(現金が99万円になります)、最低弁済額は261万円になります。

5 可処分所得の2年分の金額で決まる基準

可処分所得は、給料や税金等の金額、家族関係、居住場所等のファクターに基づいて計算します。

計算用のエクセルファイルがありますので、給料等の情報があればすぐに算出できます。

この可処分所得の金額は、一般的に、3つの基準の内で最も高額になる傾向があり、とくに、一人暮らしで扶養家族がいない場合は、負債総額を上回るような金額になることもあります。

そのため、給与所得者等再生は件数的に小規模個人再生よりもだいぶ少なくなっています。

住宅資金特別条項を利用した個人再生のケースで住宅ローンの返済が難しくなった場合

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年12月23日

1 個人再生の住宅資金特別条項

自宅の住宅ローン以外にカードローンやクレジットカード等の多額の負債がある場合、個人再生手続で住宅資金特別条項を利用することにより、住宅ローンの返済を継続することで自宅を維持しつつその他の負債について整理することができます。

例えば、住宅ローン以外に消費者金融やクレジットカードの負債が800万円ある場合、住宅資金特別条項を利用することで、消費者金融等の負債については、原則としてその5分の1の金額である160万円を、原則3年、最長5年で返済すれば、残余は免責されることになります(小規模個人再生の場合。なお再生債務者の財産が160万円を超えるときは、最低弁済額はその財産額になります)。

2 住宅ローンの返済ができなくなった場合

住宅資金特別条項を利用した個人再生手続の多くのケースでは、住宅ローンは契約どおりに返済することになります。

それでは、再生計画に基づく返済中に、自宅の任意売却を行ってその代金を住宅ローンの返済に充てたものの、住宅ローンが残った場合、残った住宅ローンについてその他の負債と同じように減額されるのでしょうか。

例えば、自宅を任意売却したものの1000万円の住宅ローンが残った場合、1000万円の5分の1の金額(再生計画案で免除率80%とした場合)である200万円を返済すればよいことになるのでしょうか。

この点については、住宅資金特別条項を利用した場合、その後自宅を売却して住宅ローンの一部の返済に充てたとしても、その残額に債務減額の効果は及ばず、全額返済しなければならないと考えられています。

3 住宅ローンについて個人再生を行うことは可能

なお、住宅ローンを利用して不動産を購入した方が、住宅ローンの返済が困難となり、当該不動産の任意売却を行った場合、残った住宅ローンについて個人再生を行うことは可能です。

ただし、住宅資金特別条項を利用しない手続きとなりますので、住宅ローンも含めた負債の総額が5000万円を超える場合は、個人再生手続は利用できません。

個人再生を選択する最大のメリットは、住宅資金特別条項を利用することにより自宅を維持することですので、それを既に手放している場合は、支障がない限り、自己破産を選択して負債のない状態から生活再建をした方がよいでしょう。

個人再生の見えないリスク

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年12月5日

1 はじめに

個人再生を選択するメリットの一つとして、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することにより、住宅ローンの返済を継続しながらそれ以外の負債(カードローン等)の整理できるということがあります。

住宅ローンの返済は継続しますので、自宅は保有し続けることができます。

本稿の執筆者が担当した個人再生の案件も、その多くは住宅資金特別条項を利用しています。

そして、自宅を住宅ローンで購入する方のほとんどは配偶者等の家族がいますので、住宅資金特別条項を利用して個人再生を行う方のほぼ全員に家族がいらっしゃいました。

個人再生は、法律のルールにしたがい減額された負債を、原則3年、最長5年の期間で分割返済する債務整理の手続きです。

住宅資金特別条項を利用する方の場合、生活費の増大のために住宅ローン以外の負債が増えてしまったというケースも多く、そうなると、負債が減額されたとしても3年での分割返済は困難ということも多いですので、返済期間を最長の5年とするケースも多くあります。

このように、個人再生の手続きは、自己破産手続と異なり3年から5年という比較的長期間の返済を伴いますので、申立て時に予期していなかったことが返済中に起こることもありえます。

ここでは、個人再生の手続きを利用する場合の見えないリスクについてご説明します。

2 離婚するリスク

住宅資金特別条項を利用する方が子どももいる家族の場合、購入している住宅は通常3LDK程度です。

例えば、3LDKの自宅をローンで購入した夫が個人再生を行い、返済中に離婚することになり妻子が自宅から出て行った場合、3LDKの自宅は一人暮らしには広すぎるため住み替えも検討したいという方もいらっしゃるでしょう。

そうなると、自宅を任意売却することになりますが、それなりの価格で売れないと多額の住宅ローンが残ってしまい、自己破産が必要になることもあります。

3 子供の生活費負担が生じるリスク

債務整理の相談をしていると、いわゆるフリーターの息子・娘の生活費も負担しなければならないため借り入れが増えているという方も時々いらっしゃいます。

また、専業主婦だった娘が離婚し子供を連れて家に戻ってきたため生活費の負担が増えたというケースや、精神疾患により仕事を辞めざるを得なくなった息子・娘が実家に戻ってきたことにより生活費の負担が増えたということもあります。

このようなケースではいずれも、親に生活費を頼るために実家へ戻ることが多いため、これらが個人再生の返済中に生じた場合、生活費の負担が重くなり返済が困難になることもあり得ます。

これらのリスクを個人再生の申立て時点で認識している方はまずいらっしゃいませんが、個人再生にはこういったリスクがあるということを頭の片隅に置き、このようなリスクが現実化しても生活が成り立つように、普段から節約および貯蓄を心掛けるとよいと思います。

個人再生と強制執行

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年11月21日

1 はじめに

個人再生手続の最大のメリットは、住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を利用することで、住宅ローンの支払いを継続しながらその他の債務を整理できるという点です。住宅ローンの支払いを継続しますので、自宅を保持し続けることができます。

自宅を保持しつつ住宅ローン以外の負債を整理するという目的は、任意整理でも達成することは可能ですが、任意整理では、借金等の元金について減額を受けられることはまずありません。元金部分についても減額の効果を受けるためには、個人再生を選択する必要があります。

このような住宅ローン特則を利用する個人再生手続きを弁護士に依頼すると、住宅ローンの返済は継続しますが、その他の債務についてはいったん返済を停止します。

2 強制執行と否認権

債務者が返済を停止した後に、親族等の特定の債権者に対してのみ返済をしてしまった場合(これを偏頗弁済と言います)、このような偏頗弁済が行われた場合、破産手続では、破産管財人は弁済を受けた債権者に対し返済を受けた金額の返還を請求することができることがあります(これを否認権の行使と言います)。

これは、債権者が強制執行によって返済を受けた場合も同様ですので、弁護士が自己破産の受任通知を送付した後に貸金業者等が強制執行を行うことはあまりありません。強制執行をしても、結局破産管財人に取り返されるからです。

しかし、個人再生の場合は、返済を受けた金額を取り返されることはないですので、訴訟を提起して強制執行を行う業者もあります。

中には、弁護士が自己破産の受任通知を送付した場合は何らのアクションも起こさないものの、個人再生の場合は弁護士受任後数ヶ月程度で訴訟を提起し、判決を取ると強制執行を行ってくる貸金業者もあります。

3 強制執行の対象

個人の方が強制執行を受ける場合、その対象の多くは預貯金か給料です。

とくに給料については、銀行や消費者金融に借り入れの申込みを行う際、勤務先を申込書に記載して源泉徴収票を提出していることが多いですので、強制執行の対象として狙いやすいものになります。

4 給料差し押さえの問題点

給料の差し押さえが行われますと、額面額から税金や健康保険料などを控除した金額の4分の1相当額が差押を行った貸金業者等への返済に充てられてしまいます(なお、手取りの4分の3の金額が33万円を超過する場合は、超過部分全額が差押の対象となります)。

そうなりますと、手取り額がかなり減りますので住宅ローンの返済も困難となり、個人再生の遂行が困難になるということにもなりかねません。

訴訟を提起した業者も、個人再生の申立てを行えば訴訟を取り下げますので、訴訟を提起する可能性が高い業者が債権者に含まれている場合は、すみやかに弁護士費用を準備し、申立てを行うことが重要となります。

また、返済が厳しくなった場合は、貸金業者等への返済を停止する前に速やかに弁護士に相談することも重要です。

給与所得者等再生について

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年11月2日

1 小規模個人再生との違い

個人再生手続には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類があります。

どちらの手続きも、法律の規定にしたがって減額された負債を原則3年、最長5年で分割返済すれば残余が免責されるという内容ですが、以下のとおり、重要な違いが2点あります。

①第一に、小規模個人再生では再生債権者による書面決議がありますが、給与所得者等再生にはありませんので、再生債権者の反対により手続きが廃止になることはありません。

②第二に、最低弁済額について、給与所得者等再生では可処分所得の2年分以上という基準が加わります。

実務上、個人再生の利用者は給与所得者であることが多いにも関わらず、その多くは小規模個人再生を選択しているのは、第二の点にあります。

例えば、再生債権額が700万円、再生債務者の財産(清算価値)が100万円の場合、小規模個人再生では700万円の5分の1の金額である140万円を返済することになります。

しかし、給与所得者等再生で使われる可処分所得の2年分以上という基準では、再生債務者の家族数(被扶養者数)にもよりますが、この140万円を遙かに上回る金額になることが多く、3年から5年の分割弁済では返済できないケースが多いのです。

2 給与所得者等再生を選択するケース

給与所得者等再生は小規模個人再生よりも返済額が多くなるのが通常ですので、あえて給与所得者等再生を選択するのは、①のメリットを享受できることが理由となります。

例えば、公的機関が再生債権者の場合、小規模個人再生では書面決議で異議を提出するケースが多いようであり、また、一部の民間業者についても異議を提出されたというケースが報告されています。

つまり、書面決議で否決される可能性が高いため小規模個人再生の選択は難しいものの、給与所得者等再生でも返済は可能であり、かつ自己破産のデメリットを回避したい場合に給与所得者等再生が使われることになります。

例えば、負債が多額のため負債の減額が困難な任意整理の選択は困難であるが、他方、保持したい財産があるため自己破産は回避したい、というようなケースです。

3 給与所得者等再生のご相談

給与所得者等再生のご相談を検討されている方は、ご相談にあたって以下の点を準備しておくことをお勧めします。

まず第一に、債権者と債権額について正確に把握しておくことが重要です。

例えば、ある大手クレジットカード会社は、小規模個人再生手続きにおいて、自社の異議のみで書面決議を否決することができる場合、異議を提出する可能性が高いと言われています。

同社は、系列グループ会社である銀行のカードローンについて保証しており、債務整理に入ると銀行に対し代位弁済を行いますので、このカードローンの負債も同社に対する負債として計上する必要があります。

次に、給与所得者等再生で最低弁済額の基準となる可処分所得の2年分を算出するために、住民票、直近2年分の課税証明書と源泉徴収票、配偶者が働いている場合は配偶者の直近の源泉徴収票、住宅ローンがある場合は月々の返済額がわかる書類、賃貸にお住いの場合は賃貸借契約書を用意しておくとよいでしょう。

個人再生の手続きに必要な期間

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年10月12日

1 費用の準備期間

本稿では、千葉地方裁判所での個人再生手続きを前提として、弁護士に依頼して個人再生手続を行う場合に必要となる期間についてご説明いたします。

まず、個人再生の申立てを行うためには、着手金等の弁護士報酬、実費、および予納金等の申立の際に必要となる費用を事前に準備していただきます。

この報酬や実費等を一括で直ちに準備できる場合は、費用の準備期間はほぼゼロになりますが、一括での用意が難しく分割払いになる場合は、分割で費用を積み立てる期間がまず必要になります。

なお、費用の分割払いの期間につきましては、弁護士法人心では原則として1年以内としております。

ただし、例えば早期に訴訟を提起し給料差押え等の強制執行を行う業者が債権者にいる場合など、早期に個人再生の申立てを行わなければならない場合は、一括または短期での費用準備をお願いしています。

2 個人再生申立てまでの期間

まず、費用を早期に一括で準備できる場合は、原則としてすぐに申立ての準備に入ります。

この場合の申立の準備期間は、債権調査に必要な時間や依頼者の方の状況も考慮し、2~3か月程度に設定しますが、給料を差し押さえられているなど、できるだけ速やかに申立てを行う必要がある場合は、すぐに準備して申立てを行います。

費用を分割で準備する場合は、できるだけ費用の準備完了と同時に申立てができるように準備をしますので、弁護士が個人再生の依頼を受けてから申し立てを行うまでの期間は、費用の準備期間とほぼ同じとなります。

3 個人再生申立後、開始決定まで

⑴ 個人再生委員が選任されないケース

千葉地方裁判所の個人再生手続きでは、弁護士が代理人として申立てを行う場合、原則として個人再生委員は選任されません。

そのため、申立書の内容や添付資料などについて裁判所から補正の指示がある場合は、指示にしたがい書面や資料を提出すれば、開始決定が出されることになります。

申立てから開始決定までの期間は、補正等の指示があるかどうか、補正の対応にどれほどの期間が必要かにもよりますが、千葉地方裁判所本庁の場合、通常は3週間程度です。

⑵ 個人再生委員が選任されるケース

個人再生委員が選任されるケースでは、裁判所による補正の指示への対応のほかに、個人再生委員の面接も受ける必要もあります。

そのため、申立て後、開始決定までの期間は、個人再生委員が選任されないケースよりも10日から2週間程度多くなるのが通常です。

4 開始決定後、再生計画案の認可まで

千葉地方裁判所の場合、個人再生手続開始決定と同時に、個人再生手続進行予定表が再生債務者に交付されます。この予定表では、開始決定から再生計画認可決定まで4か月程度を想定しています。

ただし、再生債権について異議の申述のない事案で、再生計画案を早めに提出すれば、再生計画認可決定までの期間は3か月程度に短縮される場合もあります。

5 再生計画認可決定後

再生計画認可決定は官報で公告され、掲載から2週間が経過すると再生計画認可決定が確定します。

千葉地方裁判所の場合、再生計画認可決定から確定までの期間は、通常1か月程度です。

裁判所での個人再生の手続きは以上となり、再生計画案にしたがった返済が開始することになります。

なお返済期間は原則3年で、特別な事情があれば最長5年まで延長が可能です。

個人再生をする場合の手続きの流れ

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年1月11日

1 法律相談から委任契約まで

弁護士に依頼して個人再生を行うことを検討している場合、まずは弁護士に法律相談をすることになります。

相談の申込みを受けた弁護士は、相談者の方の負債金額や収支など、債務整理を進めるにあたって必要となる情報を聴き取り、また通帳や住宅ローン契約書などの資料を確認して、個人再生を利用するために必要となる要件を充たしているかどうか、また債務整理の手段として個人再生を選択することがベストなのかどうかを判断します。

法律相談の結果、個人再生を選択することに決めたら、弁護士報酬等の費用の金額および支払方法について相談者の方に提案し、納得いただければ弁護士と委任契約を締結することになります。

2 費用の準備から申立まで

弁護士報酬等の費用のお支払いは、一括または分割があります。

解約返戻金のある保険の解約などにより費用を一括で準備することができる場合は、支障がない限り直ちに申立の準備に入ることになります。

分割で費用を準備していただく場合は、まずは分割払いによる費用の積立が必要になり、積み立ての完了時期に近づいたら申立の準備に入ります。

なお、費用を分割で積み立てている間は、弁護士は主に債権者への受任通知の送付と債権調査を行います。

また、個人再生の申立には、預貯金通帳や保険証書など必要な資料の収集や家計表などの作成が必要になります。

これらは、主に依頼者の方に行っていただくことになります。

必要な資料の収集や家計表等の作成が遅れると、個人再生の申立ても遅れてしまいます。

そうなると、遅延損害金の増加による返済金額の増額など、不利益が生じる場合もあります。

3 申立後、開始決定まで

申立書が完成し、添付する書類や資料が揃ったら、裁判所に個人再生の申立てを行います。

申立書の内容や添付資料に不備や不足があった場合は、裁判所から補正や追完を指示されますので、速やかに準備し裁判所が定めた期限までに提出します。

また、千葉地方裁判所では弁護士が代理人として申立てを行った場合は原則として個人再生委員は選任されませんが、例外的に選任された場合は、個人再生委員の面接を受けることになります。

裁判所から指示された書類等を提出し(個人再生委員が選任されたケースでは個人再生委員の面接を受けた後)、再生手続きの開始について問題なしと判断されれば、開始決定となります。

なお、個人再生手続きを行って返済できるかどうかをテストするいわゆる「履行テスト」は、千葉地方裁判所では申立時から開始します。

4 開始決定後から再生計画認可決定まで

千葉地方裁判所では、開始決定と同時に、①債権届出期限、②報告書の提出期限、③一般異議申述期間、④評価申立期限などの手続きのスケジュールが定められます。

この間、依頼者の方に行っていただくことは、履行テストがメインとなります。

ただし、仕事や財産関係に変動があった場合は、その旨を記載した報告書と資料を提出する必要があり、また、清算価値が最低弁済額になる場合は、再生計画案を提出する際、あわせて通帳等財産の最新の資料を提出しなければなりません。

このようなケースでは、依頼者の方に必要な資料を準備していただく必要があります。

また、個人再生委員が選任された場合に、個人再生委員から家計表の作成などを指示された場合は、それに対応する必要があります。

上記以外の事項(債権届出に対する異議や再生計画案の作成等)は、弁護士が対応することになります。

5 再生計画認可決定後、返済開始まで

再生計画が認可され、その認可決定が確定したら、各再生債権者に返済先の口座を照会します。

返済は通常、再生債権者が指定する口座への振り込みになります。

そして、認可された再生計画案の内容どおりに分割返済を行うことになります。

住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を検討する際の注意点

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年4月13日

1 個人再生を選択するメリット

個人再生手続では、住宅ローン特則(正式名称は住宅資金特別条項といいます)を利用することで、住宅ローンの支払いを継続しながらそれ以外の負債を整理することが可能です。

住宅ローンの支払いは継続しますので、自宅は競売等されることなく維持することができます。

また、個人再生を利用すれば、任意整理の場合と異なり、住宅ローン以外の負債は、法律のルールによって減額されることになります。

ただし、この住宅ローン特則を利用するためにはいくつかの条件があります。

ここでは、これまでの法律相談で実際にあったケースをご紹介しますが、住宅ローン特則を利用できるかどうかについては、最終的には事案ごとに判断する必要があります。

そのため、以下で述べるケースに形式的に当てはまったとしても、ご自身で利用の当否を判断することはせずに必ず弁護士に相談してください。

2 住宅ローン以外の負債について抵当権が設定されていたケース

住宅ローン特則を利用するためには、住宅ローンについて自宅に抵当権が設定されている必要がありますが、これとは別の負債、例えばフリーローンを担保するための抵当権も設定されているケースがあります。

このように、住宅ローン以外の負債について自宅に抵当権などの担保権が設定されている場合、住宅ローンの返済を継続したとしても、担保権が設定された負債について担保権が実行されれば自宅を失いますので、住宅ローン特則の利用を認めるメリットはなく、原則として利用できません。

ただし、親族等の援助を得て担保権の設定された負債を完済し、担保権を抹消すれば、住宅ローン特則の利用が可能になります。

ただし、特定の債権者に対する返済は偏頗弁済になり、その返済額について清算価値への加算の問題が生じますので、必ず弁護士に相談してから進めるようにしてください。

3 投資物件のためのローンだったケース

住宅ローン特則は、現在居住している住居(自宅)を可能な限り維持できるようにすることを目的として、民事再生法に規定されたものです。

そのため、例えば賃貸する目的で購入したワンルームマンションの居室についての不動産担保ローンの場合は、住宅ローン特則は利用できません。

また、自宅として利用する目的で購入し、当初は居住していたものの、その後転勤のため家族全員で転居し自宅として利用しなくなった場合も、住宅ローン特則は原則として使えません。

逆に、当初は賃貸に出す目的で投資用物件を購入したものの、その後自宅として利用するようになった場合は、住宅ローン特則を利用することができます。

つまり、個人再生手続を利用するときに、住宅ローンの対象となる物件を自宅として利用しているかどうかが判断のポイントになります。

個人再生手続きにおける住宅ローンについての注意点

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年8月18日

1 はじめに

個人再生手続のメリットの一つは、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用することにより、住宅ローンの返済を継続しながらそれ以外の負債を整理することが可能になるという点にあります。

住宅ローンの返済を継続しますので、自宅は競売されることなく維持することができます。

ただし、住宅資金特別条項を利用するためにはいくつかの条件があります。

そのうちの一つが、住宅ローンとして借り入れた金銭は住宅の購入資金として利用していなければならない、という条件です(この要件に該当する住宅ローンを「住宅資金貸付債権」といいます)。

本稿では、この住宅資金貸付債権について、問題となるケースをご説明します。

2 住宅ローンの一部を既存債務の返済に充てているケース

住宅ローンは、一般消費者の方が利用できるローンの中でもっとも審査が厳しくなっています。

例えば、消費者金融会社やクレジットカード会社の負債が残っている状態では、信用情報に事故情報が登録されていない場合でも、通常は審査が通らないようです。

そこで、戸建てを建築・販売する不動産業者がその負債を立て替えて返済し、立て替えた金額を戸建ての売買価格に上乗せして購入希望者に住宅ローンの申請をさせるということが行われています。

住宅ローンの審査が通れば、住宅ローンとして借り入れた金額は売買代金として不動産業者に支払われますので、不動産業者は立て替えた金額も回収できることになります。

このケースでは、住宅ローンの一部について、不動産業者が立て替えた金額の返済に充てられていますので、住宅ローン全体として住宅資金貸付債権といえるかどうかが問題となります。

3 買い換えの場合

住宅については、家族が増えると広い家に住み替える方もいらっしゃいます。

その場合、最初に購入した自宅の売却代金を住宅ローンの返済に充て、新たに購入する住宅についてあらためて住宅ローンを組むことになります。

この買い替えの場合、最初に購入した住宅が住宅ローンの残額以上の価格で売れれば問題はないですが、売却価格が住宅ローンの残額を下回った場合は、新たに購入する自宅のために借り入れた住宅ローンの一部が最初に購入した住宅の住宅ローンの返済に充てられることがあります(この場合、新たに組んだ住宅ローンの契約書には、貸付金の使途として住宅購入のほかに返済と記載されていることが通常です)。

この場合も、新たに購入した住宅のために借り入れた住宅ローンが全体として住宅資金貸付債権といえるかどうかが問題となります。

4 借り換えの場合

A銀行で住宅ローンを組んで自宅を購入した後に、返済総額を減らす目的等で利率の低いB銀行の住宅ローンに借り換えることがあります。

この場合、借り換え後の住宅ローンが借り換え前の住宅ローンの返済に充てられることになりますが、借り換え後の住宅ローンの一部が保証料等の支払いに充てられることもあり、そうなると、借り換え後の住宅ローンが全体として住宅資金貸付債権といえるかどうかが問題となります。

このように、住宅ローンが住宅資金貸付債権に当るかどうかが問題となるケースがありますので、個人再生のご相談の際は、住宅ローンの契約書や住宅の購入契約書を準備しておくとよいでしょう(これらの書類は、不動産業者や金融機関からファイルに入れて渡されていることが多いです)。

清算価値を算出するための資料(自動車編)

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年8月10日

1 はじめに

個人再生では、再生計画案で定める免除率により再生債権者に対する弁済額が決まりますが、この弁済額は、再生債務者の有する財産額を下回ってはいけないとされています。

このルールを、清算価値保障原則と言います。

その趣旨は、再生債権者が、破産手続よりも不利な立場に置かれるのを回避することにあります(破産手続では、理念的には、破産者の財産は配当に充てられることになるからです)。

例えば、小規模個人再生で、確定した再生債権額の総額が500万円で、再生債務者の有する財産が50万円の場合、最低弁済額は100万円(免除率80%)となりますが、再生債務者の有する財産が200万円の場合は、最低弁済額は200万円(免除率60%)となります。

2 査定

清算価値は金銭に評価して計算する必要があります。

そのため、不動産や自動車については、査定により金銭的に評価してもらう必要があります。

この点、千葉地方裁判所およびその支部では、不動産の場合、不動産業者の査定書(近隣の取引事例等を基に査定価格に至るまでの計算過程が記載されているもの)2通を提出し、その平均額を不動産の時価としていますが、自動車の場合、決まったルールはないようです。

そこで、千葉地方裁判所またはその支部で個人再生手続きを行う場合は、以下のように対応するとよいでしょう。

まず、清算価値の合計額が他の基準で決まる最低弁済額を明らかに下回る場合は、自動車の査定について神経質になる必要はありません。

例えば、負債総額が800万円の場合、負債額で決まる最低弁済額は5分の1である160万円ですが、清算価値の合計額は80万円程度の見込みの場合(自動車は50万円程度とします)、自動車の査定額に5万円から10万円程度の増減が発生しても最低弁済額に影響はありません。

そこで、大手自動車メーカーがウェブ上で提供している下取りシミュレーションまたは買取りシミュレーション(いずれも年式のみならず型式やグレードまで特定してシミュレーションできます)などを利用し、その結果を印刷して提出するとよいでしょう。

他方、清算価値が最低弁済額になる可能性がある場合は、ある程度しっかりした査定書を取っておくとよいでしょう。

まず、いちばんしっかりした査定は、一般財団法人日本自動車査定協会による有料査定です。

出張費も含めて2~3万円程度で査定してもらえます。

また、自動車メーカー系のディーラーでも、一般財団法人日本自動車査定協会が作成した書式を利用した査定をしてもらえることがあります。

自動車メーカー系のディーラーで新車を購入したという場合は、担当者に聞いてみるとよいでしょう。

なお、通常の(プレミアムの付いていない)国産車で、初度登録から10年程度経過していれば、価値はゼロですので時価の調査は不要です。

他方、時価の調査が必要なほど新しい車の場合、自動車ローンが残っていることが多く、所有権留保が設定されていればクレジット会社に引き揚げられることになります。

そのため、個人再生で自動車の査定が必要になるケースは、主に銀行等のマイカーローンを利用して購入した場合になります(この場合は、車に所有権留保は設定されません)。

個人再生での返済

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年7月13日

1 返済額の決定

個人再生手続では、借入金等の負債について、法律の定めるルールにしたがい減額された金額を分割で返済すれば、残額について免責されることになります。

返済期間は原則3年間で、3年では返済が難しい特別の事情があれば、最長5年間まで延長できます。

どの程度の金額について減額されるのかについては、免除率を定めて計算することになります。

例えば、再生債権者であるA社について、再生手続きで確定した債権額が300万円、免除率が8割の場合、免除を受ける金額は、300万円×0.8=240万円となります。

つまり、再生計画案の履行手続では、A社に対しては、300万円から240万円を控除した60万円を分割で返済することになります。

2 返済回数

⑴ 任意整理で、3年間で分割返済する合意を行う場合、通常、毎月一定額を返済するという内容にしますので、返済回数は36回になります。

他方、個人再生手続では、負債が減額されますので、1社あたりの返済金額は、任意整理の場合と比べて少なくなります。

そのため、毎月返済するという内容にした場合、各回の返済金額に対する振込手数料の割合が大きくなってしまいます。

そこで、個人再生では、3か月に1回返済するという内容で再生計画案を作成することが多く、3年間で返済する場合、返済回数は12回となります。

例えば、1の事例で、再生債権者Bの確定債権額が30万円の場合、再生計画で返済する金額は6万円となりますので(免除率8割で24万円免除されます)、これを36回で返済すると、1回の返済額は1670円となりますが(10円未満を切り上げて端数調整する場合)、12回で返済する場合は5000円となります。

⑵ このように、個人再生手続きでは3か月に1回の返済になることが多いですので、毎月の給料から返済に充てる分をプールしておく必要があります。

例えば、各回の返済総額が15万円の場合に、毎月の給料から5万円を返済のために取っておく、というような感じになります。

つまり、個人再生手続きでは、家計や預金をしっかり管理し、返済資金を確保しておくことが重要になります。

家計や預金の管理が苦手な方は、法律事務所が提供している送金代行を利用するとよいでしょう。

送金代行を利用する場合、毎月積み立てる金額を設定し、その金額を毎月決められた日までに法律事務所の預り金口座に入金してもらいますので、誤って使ってしまうことも防ぐことができます。

3 返済方法

個人再生手続きでの返済方法は、再生計画案で定めることになりますが、通常は、再生債権者が指定する銀行口座への振り込みになります。

任意整理で毎月返済を行う場合は、口座振替を行ってくれる業者もありますが、個人再生では通常3か月に1回の返済になりますので、口座振替が可能であるとの連絡があった業者は、本稿の執筆者が担当した案件ではありません。

住宅ローン特則つき個人再生で必要な書類(不動産の査定書編)

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年7月11日

1 不動産がある場合の個人再生手続き

個人再生手続では、最低弁済額を決める際の基準として、清算価値保障原則というものが適用されます。これは、再生計画案で定める最低弁済額は、再生債務者が有する財産(清算価値)の金額以上でなければならない、というルールです。

そのため、一般的に価値が高く抵当権などの担保の設定もない不動産を有する方が個人再生手続を行うことはまれで、通常は、住宅ローンを利用して自宅を購入した方が、住宅ローン特則(正確には住宅資金特別条項と言います)を利用して、住宅ローンの返済は継続しつつ、その他の負債について整理するために利用します。

2 清算価値保障原則と不動産

清算価値は金銭に見積もって算出しなければなりませんので、不動産の場合、まずその時価がわかる鑑定書や査定書が必要になります。

ただ、不動産査定についての専門家である不動産鑑定士に鑑定を依頼すると、通常は数十万円の費用がかかりますが、借金の返済が厳しくなったため個人再生手続を行うことを決断した債務者の方にとって、その費用を準備することは困難です。

そのため、千葉地方裁判所では、民間の不動産会社2社の査定価格の平均値を当該不動産の時価とする扱いとなっています。

3 不動産会社の査定書

不動産会社の査定書は、個人再生を行う方が、不動産会社の店舗に赴いて依頼する必要があります。

ウェブサイトでも査定の依頼をすることは可能ですが、本稿の執筆者が担当した案件で、ネットで依頼して「使える」査定書を取得できた依頼者の方は、本稿の執筆時において一人もいません。

千葉地方裁判所の個人再生手続きでは、この査定書は2社分を提出する必要があります。

ただし、査定価格しか記載されておらずその計算過程の説明がないものや、売却する場合の売り出し価格しか記載されていないものは受け付けてくれません。

査定の対象となる不動産の近隣の取引事例などを基にして、査定価格に至るまでの計算過程が説明されているものが必要になります。

また、査定価格は不動産業者によって大きな違いがでることも珍しくはありません。

そこで、少なくとも大手の不動産業者3社に査定を依頼するとよいでしょう。

4 不動産の清算価値の算出方法

住宅ローンについて担保が設定されている不動産の清算価値は、時価から住宅ローンの残額を控除した金額になります。

まず、例えばA社の査定価格が「1400万円~1450万円」、B社の査定価格が「1300万円から1350万円」の場合、A社の査定価格は中間値の1425万円、B社の査定価格は同じく中間値の1325万円となりますので、この不動産の時価は2社の平均値である1375万円となります。

そして、住宅ローンの残額が1000万円の場合は、この不動産の清算価値は時価である1375万円から住宅ローン残額の1000万円を控除した375万円となりなります。

なお、住宅ローンの残額が不動産の時価以上となるオーバーローンの場合は、清算価値は0円となります。

清算価値保障原則の運用

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年2月17日

1 清算価値保障原則とはどのようなものか

個人再生では、再生計画で定める返済総額について、その最低金額(最低弁済額といいます)を定めるための基準が複数あります。

清算価値保障原則は、その最低弁済額を決める際の一つの基準となるもので、再生計画案で定める返済総額は、再生債務者の財産の総額以上でなければならないという原則です。

例えば小規模個人再生で、再生債権の総額が600万円の場合、再生債権の金額を基準とした最低弁済額は120万円となりますが、再生債務者に200万円の財産がある場合、破産手続では、理念的にはその200万円が配当に充てられ得ることになります。

このケースで、個人再生手続きでの最低弁済額を120万円としてしまうと、債権者は破産手続よりも不利益を被ってしまうことになります。

その不利益を回避するために設けられたのが、清算価値保障原則になります。

この清算価値保障原則は、民事再生法の条文で具体的に規定されているわけではありません。

よって、その原則の運用基準については地方裁判所が各別に決めることになりますので、申立てをしようとする地方裁判所の運用を事前に把握しておく必要がります。

以下では、千葉地方裁判所の運用を前提にご説明します。

2 現金について

破産手続では、99万円までの現金(預貯金は現金ではありません)は本来的自由財産とされており、裁判所の許可がなくても破産者が自由に使うことができます。

破産者が最低限の生活を維持できるようにすることがその趣旨です。

個人再生手続でも同様に、99万円までの現金は清算価値に計上する必要はありません。

そのため、最低弁済額が清算価値で決まる事案においては、清算価値をできるだけ低くするため、預金を引き出して現金で保管しておくという方法もあります。

3 預金について

千葉地方裁判所の破産手続では、20万円までの預貯金は換価を要しない財産とされ、自由財産拡張の裁判がなくても当然自由財産とする扱いになっています。

しかし、個人再生手続では、預貯金の合計が20万円以下であっても、清算価値への計上を求められます。

4 退職金請求権

現勤務先に勤務中で、退職予定のない方が破産手続を行う場合、千葉地方裁判所では、破産手続開始決定時において仮に退職した場合に受け取れる退職金の8分の1の金額が破産者の財産となります。

なお、その金額が20万円を超える場合は自由財産拡張の決定をもらう必要があります。

他方、個人再生手続きでは、理念的には、再生計画案認可決定時において仮に退職した場合に受け取れる退職金の8分の1の金額を清算価値に計上することになります。

ここで注意しなければならないのは、清算価値は、理念的には再生計画認可決定時の財産額で決まるという点です。

仮に、再生手続きが開始した時点では勤務していても、その後退職し、再生計画認可決定時に退職金請求権が発生していた場合は、その金額の4分の1が清算価値となります。

再生計画認可決定時に既に退職金が預金口座に振り込まれていた場合は、預金として清算価値に計上されることになります。

個人再生と不動産の査定

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年5月10日

1 個人再生と不動産

自己破産と比較したときの個人再生の特徴の一つは、債務者の方の財産が換価処分されることはないということです。

個人再生手続では、破産手続と異なり、再生債務者の財産が換価処分されることはありません。

もちろん、不動産に抵当権等の担保権が設定されている場合や、ローンで購入した自動車の所有権がローン会社等に留保されている場合は、住宅資金特別条項を利用する場合を除き、競売等の手続により売却されることになりますが、それは、個人再生手続とは関係なく行われるものです。

自宅を手放す意思がある場合は、通常は自己破産を選択するかと思います。

実務的には、不動産がある場合に個人再生手続きが利用されるのは、住宅ローンが残っている自宅を残すために住宅資金特別条項を利用するケースになるかと思いますので、このケースを念頭に置いて、不動産の査定に関する千葉地方裁判所(支部を含む)の実務を前提にご説明します。

2 なぜ査定が必要か

個人再生手続きでは、民事再生法に明文があるわけではありませんが、清算価値保障原則という原則があります。

この原則は、貸金業者等の債権者が破産手続きよりも不利にならないようにすることを目的とするものです。

例えば、破産手続であれば破産債権者全体で200万円の配当を受けられるのに、個人再生手続きでは再生債権者全体で150万円の返済しか受けられないとなると、債権者の立場は破産手続よりも不利になってしまいます。

そのため、この原則により再生債務者の財産の総額を算出し、再生計画における最低弁済額を決定する際の一つの基準にしているのです。

ただ、財産の総額を算出する場合、財産を金銭的に評価する必要がありますので、不動産については査定が要求されるということになります。

3 不動産鑑定士の鑑定は不要

不動産の査定の専門家は不動産鑑定士ですが、不動産鑑定士に鑑定してもらうには通常数十万円の鑑定費用がかかります。

しかし、このような大金を再生債務者が準備することは困難なことが多いですので、千葉地方裁判所では、不動産業者の査定書を2通準備し、その査定額の平均を当該不動産の価値として清算価値に計上しています。

ただし、A4用紙1枚に対象不動産と査定金額だけが記載された査定書は受け付けてくれません。

査定するにあたって参考とした過去の取引事例等の情報がある程度記載されたもの、すなわち査定金額の計算過程が記載された査定書が必要になります。

4 不動産の価値

住宅ローンについて抵当権が設定されている不動産の価値は、査定金額から住宅ローン残額を控除した金額となりますが、この金額がマイナスとなるオーバーローンの場合は、不動産の価値はゼロということになります。

なお、不動産業者の査定は、査定の際に考慮した過去の取引事例の違い等により数百万円程度の差が出ることもありますので、査定額が住宅ローンの残額を上回ることが想定される場合は、3社以上の不動産業者に査定を依頼することが重要となります。

個人再生の返済期間

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年4月27日

1 個人再生の返済期間

個人再生は、法律に定められた基準に従い減額された債務を分割して返済し、完済すれば、残りの債務が免除されるという手続きです。

この分割返済の期間は、原則として3年とされています。

しかし、「特別の事情」があれば、最長5年まで延長することが可能です。

例えば、再生債権の総額が500万円の場合、清算価値が100万円以下であれば、小規模個人再生手続での最低弁済額は100万円となります。

これを3年で分割返済する場合、月々の負担額は約2万8000円となります。

他方、5年で分割返済する場合は月々約1万7000円となり、3年の場合と比べて1万円超負担が減ります。

月々の収入から返済に充てられる金額が7、8万円程度あれば、返済期間が3年でも5年でもあまり変わりません。

しかし、返済に充てられる金額が3万円程度の場合は、3年か5年かで生じる違いの程度は大きいといえます。

なぜなら、月々の支出については臨時の支出等も想定しなければならず、3年の返済では、返済に充てられる金額が3万円の場合、臨時の支出に充てられるのはわずか2000円になるからです。

返済に充てられる金額が3万円程度の場合に、100万円を3年で返済する内容の再生計画案を提出すれば、その再生計画案を履行できるかどうかについて、裁判所から疑問を呈される可能性があるでしょう。

そこで、このようなケースでは、3年では返済が厳しいということの根拠となる「特別の事情」の存在を裁判所に説明し、3年を超える期間での返済を裁判所に認めてもらう必要があります。

2 実務の傾向

「特別の事情」と言われると、かなり厳しい要件が要求されるようにも思われますが、千葉地方裁判所では、比較的緩い要件で3年を超える期間での返済を認めているようです。

例えば、再生計画で返済する総額が100万円、毎月の手取りの収入から必要な生活費を控除した金額が3万円の場合、3年での返済だとその金額のほとんどを返済に充てなければならず、臨時の支出が必要になった場合に返済が困難になりますので、3年を超える期間での再生計画案の作成が認められます。

また、個人再生は、住宅ローンを負担する債務者が住宅ローンの返済を継続しながら他の債務を整理できるという点に一つの大きなメリットがありますが、住宅ローンを抱えた債務者には専業主婦の妻と小さい子どもがいることも多く、その場合月々の収入から返済に充てられる金額も少ないですので、住宅ローン債務者が住宅資金特別条項を利用する個人再生手続では、再生計画での返済期間について、3年を超える期間を設定することが多い印象です。

なお、千葉地方裁判所では弁護士が代理人として個人再生の申立てを行う場合は原則として個人再生委員は選任されませんが選任された場合は、個人再生委員によっては、「特別の事情」を厳しく要求する場合もあるようです。

また逆に、3年での返済に固執する再生債務者に対し、個人再生委員が3年を超える期間にするよう説得する場合もあります。

個人再生とは

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2022年4月21日

1 個人再生の位置づけ

任意整理は、その対象とする貸金業者またはクレジットカード会社と個別に交渉し、負債を36回から60回程度の分割で返済する条件で合意することで、月々の返済負担の減額を達成するタイプの債務整理で、将来利息は0%としてもらえることが多いものの、元金の減額は困難です。

他方、自己破産は、免責を許可する決定が確定すれば、手続開始の際に存在したすべての負債について免除を受けられます(ただし、税金等の非免責債権は除きます)。

個人再生はその中間で、法律の条件に従い減額された債務を原則3年間、最長5年間で返済すれば、残りは免除されるという手続です(ただし、税金等の一般優先債権は減額の対象とはならず随時返済が必要で、また養育費等の非減免債権は債権者の同意がない限り減額されません)。

つまり、個人再生は、理念的には、安定的な収入があり月々の返済額を減額することができれば継続して返済ができるため自己破産までは必要ないが、任意整理では月々の負担額を返済可能な金額まで減額することが困難な場合に検討される手続きと言えます。

2 実務の実際

しかし、実務では、個人再生の件数は任意整理や自己破産と比べて極めて少なくなっています。これは、以下の理由によるものと思われます。

① 個人再生手続きでも所有権留保のある車は引き揚げられること

自動車ローンを利用して車を購入し、車の所有権が自動車ローン会社に留保されている場合、個人再生手続きを行うと、車は自動車ローン会社によって引き揚げられ、売却されることになります。

そのため、車を手許に残したい方は任意整理を選択することになります(自動車ローン会社を任意整理の対象から外せば、車を引き揚げられることはありません)。

また、車は手放しても構わないという方、または任意整理では返済が困難な方は、返済を継続しなければならない個人再生よりも、返済義務がなくなり早期の生活再建が可能な自己破産を選択することが多くなっています。

② 自己破産を選択するデメリットがなければ自己破産を選択する傾向があること

自己破産を行うと、所有する財産は原則として換価処分され、また一定の資格や職業について制限を受けることになります。

そこで、失いたくない財産(例えば所有権留保のない車など)がある場合や、自己破産手続で制限の対象となる職業に就いている場合は、個人再生を検討することになりますが(任意整理では難しい場合)、そうでなければ、①と同じように個人再生ではなく自己破産を選択する傾向があります。

以上のような傾向がありますので、個人再生手続きは、住宅資金特別条項を利用して住宅ローンの返済を継続することで自宅を残しつつ、その他の債務を整理したいという方(任意整理では難しいが個人再生を行えば返済できるという方)が主として利用しています。そのため、件数的に他の債務整理の手段より少なくなっています。

個人再生と税金

  • 文責:弁護士 白方太郎
  • 最終更新日:2023年6月6日

1 個人再生手続における税金

破産手続を行い、免責手続で免責が許可されたとしても、未払い養育費や滞納している税金等の公租公課など、免責されない債務が存在することについては、広く知られていると思います。

このように免責を許可する決定を受けても免責の効果が及ばない債権のことを非免責債権と言いますが、公租公課も非免責債権に該当します(破産法253条1項1号)。

なお、ここでいう公租公課のうち公租とは税金(国税と地方税)のことで、所得税、自動車重量税、住民税、固定資産税などがこれに該当します。他方、公課とは税金以外で国または地方公共団体に納付する負担金のことで、国民健康保険料や国民年金保険料などがこれに該当します。

破産手続における公租公課と免責の関係は以上となりますが、本稿では、公租公課に滞納がある場合に個人再生手続ではどのように取り扱われるのかについてご説明します。

2 個人再生手続での扱い

民事再生法では、公租および公課は「一般優先債権」とされています(122条)。

この一般優先債権に該当する債権については、再生手続とは別に随時支払わなければならず、個人再生手続を行っても減額の効果を受けることはできません。つまり、公租公課の減免を受けることができる債務整理の手段はないということになります。

例えば、消費者金融等から1000万円の借り入れがあり、それ以外に100万円の滞納税金がある場合、個人再生手続を行うと借入金は5分の1である200万円を返済することになりますが(ただし小規模個人再生で、清算価値が200万円以下の場合)、滞納している100万円の税金は全額納付しなければなりません。

3 履行可能性との関係

個人再生手続では、再生計画案を作成し、裁判所の認可を受けることで債務整理の目的を達成することができます。

その際、裁判所(および個人再生委員)は、再生計画案を認可するかどうか判断するにあたり、再生計画案にしたがい再生債務者が返済できるかどうか、すなわち履行可能性の有無を厳しくチェックします。履行可能性が認められない場合は、再生計画は認可されません。

例えば、個人再生の手続中に心身の不調により勤務先を退職し、収入を失った場合は、履行可能性が認められないため、再生計画案を提出しても認可されません(ただしこのようなケースの場合、実務上は、裁判所に上申して手続を廃止してもらいます)。

税金の滞納がある場合も、この履行可能性の判断に影響を及ぼすことになります。

例えば滞納額が少なくなく、分割での納付もできていないような場合は、滞納処分により給料の差し押さえが行われる可能性があり、そうなると結果として手取りの収入が減りますので、履行可能性なしと判断されることが多くなるでしょう。

そのため、税金の滞納がある状態で個人再生手続を選択する場合は、申立てまでに滞納分を納付するか、少なくとも課税庁に相談して分割払いの取り決めをしておく必要があります。

もちろん、分割払いの取り決めがあり毎月納付している場合でも、その負担が重く他の債務の返済に充てる余裕がない場合は、自己破産を検討することとなります。

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個人再生に関するご相談

個人再生による借金の圧縮

借金が返しきれないほどのものになってしまった場合、対処法の一つとして個人再生により借金を圧縮して長期間で返済するという方法があります。

どの程度金額や期間が変わるかというのはもともとの金額によって異なりますので、個人再生をするかどうかを含め、まずは弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

弁護士が見通しをご説明します

当法人にご相談いただきましたら、借金問題を得意とする弁護士が皆様の現在の状況やご希望などをお伺いし、それをもとに個人再生が適していると考えられるかどうかを含めて検討をさせていただきます。

そして、ご提案や今後の見通しに関するご説明などをさせていただきます。

皆様にご納得いただいたうえで個人再生等の手続きを進めてまいりますので、安心してご相談いただけます。

当法人へのご相談をお考えの方は、まずはお電話ください。

弁護士にご相談いただく日程を調整させていただきます。

個人再生やご相談等につきまして、何かご不明点がおありの場合にも、丁寧にご説明させていただきますので、お気軽にご連絡ください。

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