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住宅資金特別条項の巻戻しとは

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2022年2月2日

1 巻戻しとは

個人再生の手続では、住宅ローンを残しつつ、他の債務を大幅に減額することができます。

収支が悪化して返済が苦しくなったとしても、住宅ローンだけはどうにか返済を続けているというケースも多いかと思いますが、住宅ローンの支払いも遅延が生じ始めているというケースもあります。

住宅ローンの支払いが滞ると、保証会社が住宅ローン債権者の求めに応じて代位弁済することになります。

この段階に至ってしまった場合に、一律に住宅資金特別条項を定めることが不可能としてしまうと、債務者の住宅保持という個人再生の制度趣旨の達成が著しく制約されてしまいます。

そこで、この段階であっても、一定の要件のもとに住宅資金特別条項の利用を可能としており、再生計画の認可決定が確定した場合には、代位弁済が原則としてなかったものと擬制することとなります。

これを、住宅資金特別条項の巻戻しと呼びます。

2 巻戻しの要件

⑴ 巻戻しの主体

住宅資金特別条項の巻戻しが認められるには、代位弁済をした主体が保証会社であることが必要です。

債務者の親族等が保証人で代位弁済をした場合はこの要件を満たさないということになります。

⑵ 巻戻しの時期

保証会社が保証債務の全部を履行した日から6か月を経過する日までに再生手続開始の申立てがされる必要があります。

3 巻戻しの効果

先述のとおり、再生計画の認可決定が確定したときは、保証債務の履行はなかったものとみなされるため、保証会社の求償権は遡及的に消滅し、住宅ローン債権も当然に住宅ローン債権者に復帰します。

また、保証会社の保証債務も復活します。

保証会社は住宅ローン債権者に代位弁済金の返還を求めることになります。

なお、再生債務者が、再生計画認可決定確定前に、保証会社に対し行った求償債務の弁済の効力は維持されます。

4 競売手続について

再生手続開始の申立て時点で、すでに住宅の競売手続が開始されている場合があります。

再生計画認可決定の確定までに住宅が競落されると、住宅資金特別条項を利用する余地はなくなるため、抵当権実行手続の中止命令の申立てを検討する必要があります。

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