「関東地方にお住まいの方」向けのお役立ち情報
東京で個人再生をお考えの方へ
1 東京で個人再生のご相談なら当法人へ
⑴ 来所に便利な立地です
弁護士法人心 東京法律事務所は、東京駅の八重洲北口から徒歩3分、東京メトロ・都営地下鉄日本橋駅から徒歩2分という、ご相談にお越しいただくにあたって非常に便利な立地です。
東京で個人再生のご相談をお考えなら、当法人にご相談ください。
⑵ 平日夜間や土日祝日のご相談にも対応しています
事前の日程調整により、平日の夜遅めの時間や土日祝日でも相談できる場合があります。
当事務所の周辺にはオフィスや商業施設も多いため、周辺にお勤めの方もいらっしゃるかと思います。
相談のお時間や曜日に関しましては、柔軟な調整を行えるよう努めていますので、土日しか相談に行けないという方や、平日の仕事帰りに相談したいという方にも相談していただきやすいかと思います。
⑶ まずは電話相談から始めることも可能です
すぐには事務所に行けないので、先に電話で相談したいという方も、当法人では電話・テレビ電話によるご相談も行っておりますので、ご安心ください。
相談の受付は、フリーダイヤルまたはメールフォームより承っておりますので、受付の際に、電話相談を希望される旨をお伝えください。
その他にも、相談にあたって心配なことがおありの場合はお気軽にご連絡いただければと思います。
2 個人再生による返済額の圧縮
借り入れが増えすぎて、返済が難しくなってしまった場合、個人再生により借金を減らすという方法があります。
個人再生というのは裁判所に申立てをして行う手続きで、認められることにより返済する額の減額が行われ、減額された金額を分割で返済していくことができるようになります。
実際にどの程度の減額が可能となるかは、事案により異なりますので、事前に弁護士に相談することをおすすめします。
住宅や車がある場合の個人再生の注意点 東京駅の周辺で個人再生をお考えの方へ
関東に複数の事務所があります
東京の事務所をはじめ、関東にも複数の事務所があります。どの事務所も駅の近くにあり、ご来所いただく際に便利です。所在地などの詳細はこちらからご確認ください。
個人再生が向いている人、向いていない人
1 個人再生はどういう人が選ぶのか
自己破産という言葉は聞いたことがある方が多いでしょうし、何となくイメージもつくかと思います。
それと比べて、個人再生がどういうものなのか、どういう状況にある人が使うのかについてはあまり知られていないのではないでしょうか。
個人再生が自己破産と違う点は、借金の全部がなくなるわけではないということです。
しかし、基本的には大幅に借金を減らすことができ、それを原則3年(最大5年まで延長可能)で返すということになります。
また、自己破産と違い、住宅など一定の財産を残しつつ手続を行うことも可能です。
減額されるとはいえ、あくまで以後も返済を続けることになる手続ですので、債務額が減れば返済の見込みが立つ人でなければ利用することができません。
そのため、個人再生を選ぶ方は、ある程度安定した収入があることが条件となってきます。
そして、先述のとおり個人再生では財産を残しつつ手続を行えるため、残したい財産がある人も個人再生に向いている人だということができます。
中には、心情的に一定の金額だけでも払いたいということで、自己破産ではなく個人再生を選ばれる方もいます。
2 免責不許可事由があるケース
自己破産手続では、免責不許可事由に該当していると、裁判所から免責許可を受けられないリスクがあります。
例えば、生活費等の借入れではなく、ギャンブルや投資、浪費目的で借入れを行った結果積み重なった借金であるという場合には、免責不許可事由に該当してしまうため、破産手続を行っても(大部分は裁量免責により免責されるものの)借金がなくならない可能性があります。
これに対し、個人再生手続では借入れの理由が正面から問われることが基本的にないため、破産だと免責を受けられないリスクがあるという場合に、個人再生を選択するということがあります。
3 個人再生に向いていないのはどのような人か
ここまで述べてきたことの裏返しとなりますが、安定した収入がない方は個人再生が難しい可能性があります。
契約社員やアルバイトであっても継続して収入があり、再生計画を履行できる目処が立てば個人再生可能ですが、個人事業主などで収入を得られるタイミングやその金額に波が大きい場合などは個人再生以外の手続を検討した方がいいかもしれません。
配偶者が安定して収入を得ている場合であっても、自身の収入がない専業主婦(夫)は個人再生を利用することはできません。
パート収入がある場合でも、収入のほとんどが配偶者のものであり、自身の収入では毎月の返済分を賄うことができないという場合も同様に個人再生は難しいです。
また、これは個人再生に向いていないというわけではないのですが、免責不許可事由に該当するような事情もなく、残したい財産があるわけでもないという場合は、あえて個人再生を選ぶ積極的な理由がないため、それ以外の手続を検討しても良いという考え方もあります。
個人再生を依頼する専門家の選び方
1 弁護士の仕事はあまり知られていない
債務整理の悩みを弁護士に相談しようと思っても、相談する宛のある弁護士がおらず、どの弁護士に相談すればいいのかわからないために行き詰ってしまうという人もいらっしゃると思います。
確かに、普段から弁護士と接する機会が多いという人は必ずしも多くないでしょうし、中には一生に一度接する機会があるかないかという方もいらっしゃるかもしれません。
また、知り合いに弁護士がいたとしても、こうした悩みについては知り合いに話したくないということもあるかもしれません。
そのため、弁護士の仕事が実際にはどのようなものなのかは、あまり知られていないというのが現状かと思います。
2 弁護士の仕事は人それぞれ異なる
弁護士にはそれぞれ得意とする分野もあれば、あまり取り扱っていない分野もあります。
テレビドラマなどで、刑事弁護をしている弁護士や、離婚問題に取り組んでいる弁護士を見たことがあるかと思いますが、弁護士の誰もがあのような業務をしているわけではありません。
特に都心部では、地方と比べて弁護士が広く様々な分野を取り扱うというよりも、取り扱い分野を絞っている傾向が強いようです。
3 個人再生を得意としているかを確認する
このような実態は、医者に例えて説明されることがあります。
例えば、風邪を引いたときに整形外科に行く人はいないでしょうし、眼に異常を感じている人が内科に行くということもないかと思います。
弁護士もこれと同じで、それぞれ得意な分野があるので、まずは自身の悩みに関する分野を取り扱っている弁護士に相談することが最低限必要になります。
刑事弁護で有名な弁護士だったり、メディアによく出演している弁護士だったりしても、個人再生はほとんど取り扱ったことがないかもしれません。
個人再生の相談をする弁護士を探すのであれば、借金問題(債務整理)に関してどの程度取り扱っているのか、その中でも個人再生を強みとしているかどうかをチェックすることが大事になります。
4 個人再生は債務整理の中では利用者が少ない手続き
個人再生を検討しているのなら、まずは債務整理を強みとしている弁護士かどうかに注目することが大事です。
ただ、個人再生は、任意整理や自己破産などと比べると、利用者が少ない手続きです。
債務整理を強みとしている弁護士でも、個人再生の案件はあまり扱ったことがないということもあり得ます。
そのため、債務整理案件を多く扱っているかどうかだけでなく、個人再生の案件を多く取り扱った経験があるかどうかはよく確認した方がよいでしょう。
弁護士法人心では、それぞれの弁護士が得意分野を持ち、その分野を中心に取り扱う運用を行っています。
そのため、どのようなご相談についてもその相談内容を得意としている弁護士が対応することができます。
債務整理分野を中心に取り扱っている弁護士も多数おり、個人再生の取り扱いも豊富ですので、安心してご相談いただけるかと思います。
住宅資金特別条項を利用できない場合の手段
1 住宅資金特別条項について
個人再生の特徴のひとつである住宅資金特別条項が利用できれば、住宅ローンの支払いは継続しつつ、その他の借金を減額することができる可能性があるため、ご自宅を手放したくないという方にとっては、非常にメリットがあるといえます。
しかし、住宅資金特別条項を利用するためにはいくつかの条件があり、すべての人が利用できるという訳ではありません。
では住宅資金特別条項を利用できなかった場合に、どのような方法が考えられるか、以下に説明をしていきます。
2 別除権協定による方法
住宅を目的物とする別除権協定について、民事再生法が特に禁止しているということはないため、別除権者に対して住宅の評価額相当額を支払い、目的物である住宅を受け戻して住宅ローン債権を支払う内容の別除権協定を締結することは可能です。
ただし、別除権協定を結ぶためには、担保となっているものがなければ再生計画が果たせないというような場合でなければなりません。
したがって、別除権協定を締結しなければならない必要性が乏しい場合やオーバーローンになっている場合などは、安易に別除権協定を認めてしまうと、住宅ローン債権者は本来再生手続内で満足を受けることができない債権の弁済を受けることになり、債権者平等原則に抵触する等の問題が生じ、結果的に再生計画の認可を受けられない可能性もあります。
そのため、現実的にはこの手段をとれるケースは必ずしも多くはないものと考えられます。
3 担保権消滅許可による方法
住宅ローンの抵当権を担保権消滅許可の申立てをすることで抹消し、抵当権実行のリスクをなくす方法があります。
担保権消滅許可は、当該財産が再生債務者の事業の継続に欠くことのできないものであるときが要件となる手続です。
したがって、用途が自宅としての居住のみの場合には適用の前提を欠きます。
製造業者の工場の建物・敷地など、代替性のない財産であればこの要件を満たす可能性はあると考えられます。
ただ、要件を満たす場合であっても、担保権を消滅させるためには当該財産の価額に相当する金銭を一括で予納しなければならないため、やはり現実的にこの手段をとれるケースも多くないでしょう。
4 弁護士に相談
住宅資金特別条項を利用できない場合に、個人再生をしつつ住宅を残すための他の手段が一切ないというわけではないですが、このように現実的には難しいということがいえます。
まずは弁護士に相談し、個人再生以外の手続も含めた相談をしてみることをおすすめします。
住宅資金特別条項の利用条件
1 住宅資金特別条項を定められるケース
一般に、住宅ローン特則などと言われたりもする住宅資金特別条項ですが、一定の条件に該当する場合、個人再生手続を行うことで住宅ローンはそのまま返済しつつ、それ以外の債務を大幅に減らすことができます。
しかし、住宅ローンだけはそのままにして、その他の債務は大幅に減らすというのは非常に利用者にとって都合のいい制度ですので、この住宅資金特別条項を利用できるケースは厳格に定められています。
したがって、まずはこの要件に該当するかどうかをきちんとチェックする必要があります。
主な条件として、まず①「住宅」に該当するか、②住宅の用に供されている土地の範囲かどうか、③住宅ローン以外を被担保債権とする抵当権が設定されていないかといったものがあります。
それぞれの条件については、以下で詳しく説明をいたします。
2 住宅に該当するかどうか
しばしば問題となるのが、「自己の居住の用に供しているか」という点です。
例えば、建物すべてを店舗として利用している場合は、その建物は住宅に該当しないことになります。
また、離婚していて、元妻と子がその住居に住んでいるものの、自分は住んでいないという場合も「自己の居住の用」に供していないので、住宅に該当しないことになります。
このような「住宅」の要件を満たしていない場合は、住宅資金特別条項を利用することはできません。
3 住宅の用に供されている土地とは
住宅資金貸付債権の担保として、住宅だけでなくその敷地にも抵当権が設定されているのが通常ですが、土地が複数の筆になっているような場合、住宅の用に供されている土地がどこまでの範囲を指すのかという問題があります。
これについては、現実に住宅の底地となっている筆だけに限られず、住宅の利用上必要な範囲において底地以外の土地も含まれると考えられています。
したがって、庭や駐車場などが登記上は住宅の敷地と別の土地となっている場合であっても、その庭や駐車場は基本的に住宅の用に供されている土地に該当すると考えられています。
4 住宅ローン以外を被担保債権とする抵当権が設定されていないか
不動産取得時にかかる諸費用を支払うための諸費用ローンを組むことがあり、これについても抵当権を設定することがあります。
諸費用ローンは住宅ローンと同一のものではないため、諸費用ローンの抵当権が設定されている場合、住宅資金特別条項の利用は難しいことがあります。
住宅ローンが根抵当権によって担保されている場合でも、住宅資金特別条項の利用は可能ですが、被担保債権の中に住宅ローン債権以外も含まれている場合には、住宅資金特別条項の利用は困難となります。
もっとも、住宅ローン以外を被担保債権としている場合であっても、それが住宅ローンと比較して僅少である場合や、住宅の取得と密接に関連している場合など、住宅資金特別条項の利用が認められるケースもあるので、詳細は弁護士に相談して確認する必要があります。
滞納していた税金は再生手続の影響を受けるのか
1 公租公課の滞納がある場合の個人再生
再生手続を行う場合に税金などの滞納もあるというときは、それらの取り扱いはどうなるのか問題となります。
租税の一般優先性が働く租税債権や国税徴収の例により徴収しうる請求権、国税・地方税滞納処分の例により徴収しうる請求権は、通常、一般優先債権として取り扱われます。
一般優先債権は随時弁済しなければならないものであり、再生計画による債権カットの対象となりません。
要は、所得税や住民税、健康保険料、年金といったものの滞納については、個人再生を行っても金額が減ることはないということです。
そのため、再生計画に基づく返済をしていくのと並行して、どのように滞納税金等を支払っていくかを考えねばなりません。
2 どのように払っていけばいいのか
理想としては、公租公課の滞納があるなら、個人再生の申立ての前後を問わず、できる限り速やかに納付を行い、滞納を解消できるように努めるということになります。
弁護士に依頼した後は、債権者に対する返済は止まることになりますが、滞納税金等については支払っても問題ありません。
ただ、現実的にはそうはいかないケースが少なくないでしょう。
とはいえ、公租公課の滞納を解消する目途が立たないまま再生計画を立てたとしても、今後公租公課の支払いが必要になることで再生計画どおりの返済ができなくなるのではないか、と履行可能性に疑問をもたれ、認可がなされないということもあり得ます。
滞納税金等は再生手続により減額されないものですが、だからといって再生手続と無関係というわけではなく、滞納税金の解消と再生計画の履行の見込みが両立している必要があります。
そのため、再生手続を進めるよりも先行して、公租公課庁と滞納の解消に関する協議を行い、分割納付など、納付方法について合意を取り付けることが必要です。
ケースにもよりますが、基本的に分割で支払っていくことについては認めてくれることが多いです。
3 再生手続での申告の必要性
裁判所にもよりますが、公租公課の滞納額が多い場合には、滞納額や今後の納付方法、公租公課庁との協議状況を記載する必要がでてくることもあります。
裁判所や債権者に対して、滞納公租公課の納付と並行して弁済を行うことが可能であることを説得的に記載することが求められます。
4 弁護士への相談
公租公課の滞納がある場合、それ以外の債務だけで見れば個人再生を選択できるように思われても、公租公課の納付額によっては別の手段を選んだ方が適当ということもあり得るので、難しい判断になることがあります。
公租公課の滞納がある場合の債務整理手続は、速やかに弁護士に相談することも大事ですし、役所に連絡してどのように滞納を解消していくかを相談することも大事になります。
不動産の清算価値の算定方法
1 不動産の価値を査定する必要がある
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)を定めて個人再生手続きの申立を行う場合など、個人再生では、不動産の現在価値を算出しなければならない場面があります。
この査定額次第で、個人再生手続きを行った結果、支払うことになる金額が変わる可能性もあるので、事前にその算定方法をきちんと把握し、適切な見通しを立てる必要があります。
2 処分価格を基準にする
不動産の清算価値は処分価格を基準にします。
住宅ローンが残っている場合には、残りのローン額を差し引いたものが処分価格ということになります。
3 申立書と合わせて査定書を提出する
実際の個人再生の手続きにおいては、申立書類に添付する形で査定書を提出します。
査定書は、不動産業者に作成してもらうことになります。
細かい部分は各裁判所によって変わってきますが、複数の業者の査定書が必要となっていることが多いです。
東京地裁でも、信頼のおける複数の不動産業者の作成した査定書を要求しています。
4 共有不動産の場合
競売になった場合どのように配当されるかを前提に考えることになります。
再生債務者Aと妻のBが1000万円の土地を2分の1ずつ共有している場合で、Aの債務600万円を保証するために同土地全体に抵当権が設定され、Bは物上保証人であるというケースで考えたとき、
①A、Bの各持分は500万円ずつで、それぞれの持分に割り付けられる被担保債権も600万円の半分である300万円ずつであるから、Aの持分の清算価値は差額の200万円である
②物上保証人の求償権を考慮し、主債務者の持分に相当する代金からまず配当すべきであると考え、Aの持分は全額配当に充てられ0円となる(Bの受取額が400万円となる)
という2つの考え方がありますが、東京地裁では①の方法によって処理する例が通常のようです。
AとBが連帯債務者である場合には、それぞれの持分に被担保債権を割り付けることになるため、①と同様の帰結になります。
履行可能性についての判断
1 履行可能性と再生計画の関係
個人再生手続では、再生計画を遂行できる見込みがなければ計画は認可されません。
より正確に言えば、住宅資金特別条項を定めていない場合は、「再生計画が遂行される見込みがないとき」が不認可事由とされているのに対し、住宅資金特別条項を定めている場合には、「再生計画が遂行可能であると認めることができないとき」が不認可事由とされています。
わかりにくいですが、遂行の見込みがないといえなければ認可されるのが前者であり、積極的に遂行可能であると認められなければ認可されないのが後者ということになり、住宅資金特別条項を定めている場合の方が、要件が加重されているということになります。
2 履行可能性に関する判断方法
個人再生手続の申立後、東京地裁の運用では個人再生委員が選任されます。
そして、申立後は毎月個人再生委員の指定する口座に、以後返済していくことになる見込みの金額を入金していきます。
これは、今後きちんと返済していくことができるのかどうかのテストであり、履行テストと呼ばれます。
履行テストを毎月滞りなく行うことができれば、基本的には履行可能性の要件は満たすものと考えられます。
なお、1で履行可能性に関する要件の違いについて触れましたが、住宅資金特別条項の有無によって履行テストの方法等に違いはありません。
3 申立前の事情も影響し得る
履行可能性に関しては、基本的にはここまでに述べたとおりですが、極端に履行可能性が疑われるような事情がある場合にはその限りではありません。
例えば、個人再生を行う場合、弁護士に依頼後、申立てまでの間にある程度の期間が空いていることも多いかと思います。
そして、弁護士からは各債権者に対して受任通知が発送されているかと思いますので、弁護士への依頼後、各債権者への返済は止まっているはずです。
つまり、弁護士への依頼後は、少なくとも再生計画認可後に返済することになる見込み額分の余裕が毎月生まれているはずです。
それにもかかわらず、申立て時点での預貯金がほとんどないような状態だったり、申立前の毎月の家計の状況に返済に充てられるだけの金額の余裕がない状態だったりすると、当然履行可能性について慎重な判断がなされることになります。
なお、弁護士に依頼後、毎月の余剰分を弁護士費用の積立や再生手続の申立て費用に充てたという場合は、申立て時に預貯金がない状態であったとしても問題はありません。
また、申立ての直前期に生活が大きく変化したような場合、例えば離婚、結婚(同棲の開始、解消等も含む)、出産、または引っ越しによる家賃の変化など、生活費が大きく変わることになる場合には、当然毎月返済に充てられる金額も変わってくることになります。
申立ての直前期にこうした変化があった場合には、まだどの程度毎月の余剰金が生まれるかが判然としないことも多いと思いますので、再生の手続内でも家計の状況はきちんと検討されることになります。
非減免債権の取り扱い
1 非減免債権とは
非減免債権とは、破産の場合でいう非免責債権であり、これに該当する債権については、個人再生手続を行っても減免の対象になりません。
具体的には、再生債務者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権、再生債務者が故意または重大な過失により加えた人の生命または身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権、養育費請求権等が非減免債権となります。
なお、ここでいう「悪意」とは、単なる故意ではなく、他人を害する積極的な害意を意味するものとされており、限定的に捉えられています。
したがって、不法行為に基づく損害賠償債務を負っている場合であっても、過失に基づく不法行為はもちろん、故意に基づいていても特に悪質なものについてだけが非減免債権となるということになります。
2 非減免債権がある場合の個人再生の流れ
非減免債権がある場合も、再生手続の申立てから再生計画の認可決定、その後の弁済期間満了までは他の再生債権と手続の流れに違いはありません。
つまり、基準債権の20%を3年間で弁済するという再生計画が認可された場合に、非減免債権が100万円あるのであれば、他の債権と同様にその2割にあたる20万円を3年間分割で支払うということになります。
しかし、非減免債権は減免されない債権であるため、再生計画に基づく弁済が完了したときに(上記の例だと3年間の返済完了時に)、残額の80万円を一括で支払うということになります。
このことからわかりますように、非減免債権がある場合には、再生計画が履行できるかどうかという点だけでなく、その後の残額一括払いも見据えた資金計画を立てる必要があります。
ぎりぎり再生計画を履行できそうだ、という程度の余力では、再生計画履行後の80万円一括払いは到底できないということになってしまうでしょうから、3年を超える弁済期間の計画を立てるなどする必要があります。
3 再生手続開始後の養育費等は扱いが異なる
養育費や婚姻費用が2のような取扱いになるケースは、個人再生手続開始前にすでに未払が生じている場合に限られます。
手続開始後に発生する毎月の養育費や婚姻費用については、発生の都度随時弁済することが求められます。
そのため、養育費等の支払い義務がある人であっても、遅れずに支払いを行っているのであれば、非減免債権に関する上記の問題は当てはまらないということになります。
4 まずは弁護士に相談
非減免債権に該当すると考えられる債務がある場合、上述のように返済計画を立てることがやや複雑になってきます。
また、その性質上、相手方がスムーズにそれに応じてくれるのかといった問題もありますし、そもそも非減免債権に該当するのかどうかは必ずしも明確にはわからないものです。
このように、非減免債権が問題となる個人再生の場合には、難しい判断が必要となってきますので、まずは弁護士に相談することが大切です。
否認対象行為がある場合の清算価値
1 個人再生では否認権行使の制度がない
破産手続では、債務者が支払能力を欠いているにもかかわらず、贈与や廉価売却といった行為を行っていた場合、あるいは特定の債権者に対してだけ弁済をしていた場合等について、詐害行為否認の制度が設けられています。
他方で、個人再生手続では否認制度がありません。
ただし、これは、否認行為を行っていてもいいということではありません。
もし否認権行使の回避のために個人再生の申立てがなされた場合には、不当な目的による申立てであるとして棄却されることがあります。
また、個人再生手続の開始決定後に否認対象行為が判明した場合には、否認権行使によって回復されるはずの財産額を加算した以上の弁済をする再生計画案が提出されない限り、再生計画案は認可されないことになります。
このように、別段否認権を認めなくても実質的には問題がないということから、個人再生の場合には否認権行使の制度がないのです。
2 否認対象行為と清算価値保障原則の関係
実務上は、先述した“否認権行使によって回復されるはずの財産額を加算する”という点が問題になることが多いです。
個人再生手続では、債務者の保有している財産額を最低限返済する必要がありますが(清算価値保障原則)、この清算価値を算定する場面で、否認権を行使したと仮定した場合に増殖したであろう再生債務者の財産を清算価値に加算していくこととなります。
3 清算価値への計上方法
例えば、破産手続において偏頗行為が否認されると、偏頗行為の相手方の債権は、相手方が受領していた給付の返還を行ったときに原状に復します。
しかし、実務上は、将来の配当の見込みも加味して、配当見込額を控除した額の返還を受けるということが行われています。
個人再生手続の場合に、自己破産手続がとられていた場合以上に返還を受けると考える理由はないため、個人再生手続でも、配当見込額相当額を控除した返還額を清算価値に計上するのが合理的といえます。
また、贈与や廉価売却の相手方に対して否認権行使をしても、相手方の経済状況から考えて全額の返還が期待できないような場合についても、破産手続の場合以上に返還を受けられると考える理由がないということで、現実的に返還が期待できる範囲においてのみ清算価値に計上するという考え方もあります。
もっとも、このあたりの判断については、特に東京で申立てを行う場合には個人再生委員が選任されていますので、個人再生委員とよく相談を行ったうえで手続を進めていくことになるかと思います。
4 ご不安をお持ちの方は弁護士へご相談ください
否認対象とされている行為をすでにしてしまっている場合など、どのような手続で債務整理を進めていけばいいかは非常に専門的な問題です。
否認対象となる行為をしてしまっているかもしれないという不安をお持ちの方は、まずは弁護士にご相談ください。
個人再生をした場合の最低弁済額
1 個人再生をすると借金が5分の1になる?
よく「個人再生をすると債務額が5分の1まで減る」という説明がされることが多いようです。
確かに、債務額が5分の1まで減るという方が多いのは事実なのですが、全ての方がそうだというわけではなく、個々の債務額によって、減額される金額が異なることがあります。
2 基準弁済額
上記の表のとおり、債務額が5分の1まで減るのは、債務額が500万円~1500万円の場合のみということになります。
実際に個人再生をされる方の中で、債務額がこの範囲になる方が多いことから、債務額が5分の1まで減るという説明がされることが多いものと考えられます。
3 どのくらい債務がある場合に個人再生をすべきなのか
どの債務整理手続をとるべきかについては、収入と支出のバランス、借り入れの経緯等諸々の事情を考慮して決定することになるので、債務がいくら以上ある場合はどの手続といった形で一律にご案内をすることは難しいです。
ただ、上記の表のとおり、債務額が100万円以下の場合、個人再生をしても債務が減らないことになります。
また、500万円の債務がある人が個人再生をすると債務が100万円まで減る一方で、200万円の債務を抱えている人も同じように100万円までしか減りませんので、総債務額が500万円より低ければ低いほど、個人再生により享受する恩恵が少ないということはいえるかと思います。
4 清算価値保障原則に注意
最低弁済額は基本的に上記基準によって決まりますが、清算価値、すなわち、その人の有している資産が上記基準により算出される金額よりも高額になる場合は、その有している資産額が最低弁済額となるので、資産性のあるものを有している場合は注意が必要です。
個人再生を行った後に一括返済はできるのか
1 3年で返済していくことが原則
個人再生は、再生計画案を作成し、裁判所からその再生計画について認可を受けることが最終的な目標となります。
再生計画は、原則として3年間で返済していくという内容となります。
この期間について、特別の事情がある場合には、最長5年まで延長が認められることがあります。
では、何らかの事情により、一括で返済することができるようになった場合、それは認められるのでしょうか。
2 少額債権については一括払いの計画にすることが可能
債務の額があまり大きくない場合、3年という期間で返済していくとなると、1か月あたりの返済額が数百円になってしまうようなことがあります。
そうした少額債権については、再生計画を立てる段階で、初回に一括で返済するという計画にすることが可能です。
少額債権に該当するか否かの基準は裁判所によって異なりますので、事前に確認が必要ですが、他の債権と同様の分割払いにした場合に1回あたりの返済額が1000円にも満たないようなケースではおおむね認められるかと思います。
3 一部の債権者に対してのみ繰上一括弁済することは望ましくない
分割で返済していく旨の再生計画が確定した後に、特定の債権者だけを繰上一括弁済してしまうと、その債権者だけが再生債務者の将来の無資力のリスク(何らかの事情で将来的に返済ができない経済状況になってしまうリスク)を負わなくて済むことになり、債権者間で不平等が生じてしまいます。
仮に将来、再生計画の履行が頓挫してしまった場合、多くの場合破産手続をとらざるを得なくなるかと思いますが、その債権者だけ一括弁済していたことが破産手続において否認権行使の対象とされるおそれがあり、結局は債務者自身の不利益になる可能性があります。
したがって、特定の債権者だけに繰上一括弁済することは避けるべきです。
4 すべての債権者に対して一括弁済することは可能か
上記3の考え方からすれば、すべての再生債権者に対して一括して繰上弁済する場合は、債権者間の平等が害されることはないので、これを否定する理由はないといえます。
したがって、資金的に余裕ができたためすべての債権者に対して一括して弁済するということは可能です。
5 一括弁済を考慮するにあたって
原則として個人再生では3年間での分割弁済をしていく必要があります。
将来的な利息はなくなっている以上、繰上弁済する場合も、予定通り分割で弁済する場合も、弁済する総額は変わらないので、その点では特に繰上弁済をするメリットはないです。
ただし、債権者数が多い場合などは特に毎回の弁済のための振込手数料もそれなりにかかってきますので、そうした観点からは繰上弁済をするという選択肢もあり得るかと思います。
なお、同様の観点から、債権者数はできるだけ少ない方が弁済の手間や手数料を減らせるため、少額債権として一括弁済できるものについては、再生計画の段階で一括弁済の検討をする必要があるかと思います。
否認対象行為がある場合の個人再生
1 個人再生では否認権行使の制度はない
破産手続では、債務者が支払能力を欠いているにもかかわらず、贈与や廉価売却といった行為を行っていた場合、あるいは特定の債権者に対してだけ弁済をしていた場合について、詐害行為否認の制度が設けられています。
しかし、個人再生手続では、この否認制度はありません。
これは、否認行為を行ってもいいということではなく、否認権行使の回避のために個人再生の申立がなされた場合には、不当な目的による申立であるとして棄却されることになり、また、手続開始後に否認対象行為が判明した場合には、否認権行使によって回復されるはずの財産額を加算した以上の弁済をする再生計画案が提出されない限り再生計画案は認可されないことになるため、否認権を認めなくても特段問題がないということが根底にあります。
2 否認対象行為と清算価値保障原則の関係について
再生債務者が否認対象行為を行っていた場合、清算価値算定の場面で、否認権を行使したと仮定した場合に増殖したであろう再生債務者の財産を基準に、清算価値を算出していくこととなります。
3 清算価値への計上方法
破産手続において、偏波行為が否認されると、相手方の債権は、相手方が受けた給付の返還を行ったときに原状に復します。
しかし、実務上、将来の配当の見込みも加味し、配当見込額を控除した額の返還を受けるということが行われています。
個人再生手続でも、配当見込額相当額を控除した返還額を清算価値に計上するのが合理的といえます。
東京で個人再生の申立てを行う場合には、個人再生委員が選任されますので、このあたりの判断については個人再生委員とよく相談を行った上で手続を進めていくことになるかと思います。
4 個人再生をお考えの方は弁護士にご相談ください
すでに否認対象とされている行為をしてしまっている場合などは、今後どのような手続で債務整理を進めていくべきか、非常に専門的な問題となってきます。
個人再生などの債務整理をお考えの方は、まずは弁護士にご相談ください。
給与の差押えと個人再生の問題
1 中止命令
個人再生の手続開始決定があると、すでにされている強制執行は中止されます。
もっとも、再生手続の申立から開始決定までには数週間程度かかることが多く、この間に強制執行が完了してしまうおそれがあります。
そのため、開始決定前であっても、強制執行等の手続の中止を命ずる制度があります。
したがって、例えば再生手続の申立後に給与の差押えを受けてしまった場合などは、再生手続開始の申立と合わせて中止命令を申し立てることで、執行手続きを停止することができると考えられます。
2 取消命令
強制執行の中止命令は、手続きの進行がそれ以上進むことを止める作用がありますが、再生債務者が給与を受け取るためには取消決定を得る必要があります。
もっとも、開始決定の前に取消決定を受けるには、再生債務者の事業の継続のために特に必要があると認められ、担保を立てる必要もあります。
再生手続開始決定に至れば、担保なしで取消決定を得ることができるので、開始決定前に取消決定を受ける必要があるケースは多くないと考えられます。
3 現在差押えを受けているのであれば速やかな申立てが大事
上述のように、差押えの進行や効力を止めるためには、まずは再生手続の申立がなされることが前提となります。
そのため、現在差押えを受けている状況なのであれば、まず速やかに申立てをするということが重要になります。
そして、1でも記載したとおり、申立てから開始決定までは通常ある程度の期間を要します。
したがって、申立て後速やかに開始決定を出してもらえるよう努める必要があります(この点は裁判所によっても運用が異なる部分があるため、確認が必要です。)。
4 弁護士への相談
差押えをすでに受けている、あるいは間もなく受けそうという状況にある場合、速やかに手続を行うことが求められ、そのためにはとにかく弁護士への相談を早く行うことが大切です。
個人再生を考え始めたのであれば、まずは弁護士に相談しましょう。
個人事業主で個人再生をお考えの方へ
1 個人事業主が個人再生する場合の特徴
個人事業主であっても個人再生手続を行うことは可能です。
もっとも、給与所得者等の個人再生と比較すると、個人事業主ならではの特徴があります。
個人再生は、清算価値保障原則があるので、少なくとも自身の資産分は返済しなければなりません。
一般の個人の方の場合、保険や退職金以外に大きな資産といえるものが存在することは必ずしも多くありませんが、個人事業主の場合、事業を行うにあたって用いている物や、売掛金等が資産に該当しうるため、清算価値の判断を慎重に行う必要があります。
2 評価の基準時
いつの時点での資産額が清算価値となるのかという問題ですが、これは再生計画認可決定時とされています。
もっとも、実務上は、開始決定後に大幅な財産の増減がなければ、再生手続開始決定時の評価に基づいて清算価値を算出する取扱いとなっています。
一般に、個人事業主であれば、開始決定から認可決定までに大幅な財産の増減は生じないのが通常と考えられるため、まずは開始決定時に存在する事業用の資産がいくらなのか、という点が重要になります。
3 流動資産の評価方法
売掛金については、額面を清算価値に算入するのが原則ですが、回収困難、あるいは回収見込みがない場合には一部のみ算入、あるいは全額算入しないということもあります。
原材料、半製品、製品については、市場で売却する際の正常な価格ではなく、再生債務者の事業を清算して早期に処分を行うことを前提とする価格(早期処分価格)で算定します。
4 敷金・保証金
事業用不動産の敷金・保証金については清算価値に含める必要があります。
住居と事業所兼用となっている場合、どちらが主として利用されているかという点や、利用面積の割合によって敷金・保証金の一部を清算価値に含める場合もあります。
5 機械類について
早期処分価格で算定することになりますが、差押禁止財産にあたる部分は清算価値の算定の対象となりません。
個人再生をすると家族に影響があるか心配されている方へ
1 個人再生を行う本人への影響
まず、個人再生をした本人にどのような影響が出るのかを整理いたします。
個人再生に限らず、債務整理全般に言えることではありますが、手続きを行うと信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に登録され、新たな借入れを行うことができなくなり、クレジットカードの作成・利用や、ローンを組んだりすることができなくなります。
また、個人再生を行う場合は、官報に氏名と住所が掲載されることになります。
もっとも、一般の方が官報を見る機会はほとんどないかと思いますので、実際に生活に影響が生じることは少ないです。
2 家族への影響~信用情報~
次に、家族にはどのような影響が出るのかについて説明します。
信用情報は、あくまで個々人単位の話になりますので、基本的に家族への影響はありません。
そのため、ご家族がお持ちのクレジットカードが使えなくなったり、ご家族名義でローンを組めなくなったりするということはありません。
ただし、再生をする本人が主たる契約者で、その家族カードをご家族が利用しているといった場合は、家族カードは使えなくなります。
3 家族への影響~保証人~
個人再生を行うと、債権者は債権を回収するために、保証人に対して支払いを求めることになります。
したがって、保証人がついている債務がある場合には、保証人が債務を一括返済する必要が生じます。
もしご家族が保証人となっている債務がある場合には、個人再生をすることでご家族が影響を受けることになります。
4 家族への影響~自動車、家~
個人再生は、自宅や自動車等の資産を強制的に処分されることなく生活の再建を図る制度なので、ローンの返済中でなければ、自動車を強制的に処分される心配はありません。
家具や生活必需品等の家財道具を差し押さえられるということもありません。
そして、住宅については、住宅資金特別条項を利用して個人再生を行うことができるため、住宅を残したいという意向がある場合には、自宅を手放すことなく、住宅ローン以外の債務を整理することができる場合もあります。
他方で、車のローンを返済中である場合、ローンの完済まで自動車の所有権はローン会社に残っていることがほとんどであるため、個人再生手続きを行うことで、ローン会社に自動車を引き揚げられてしまうことになります。
自動車がないと生活に大きな支障が出るという場合、ご家族にも事実上影響が生じると言えます。
また、パソコン等の高価な物品については、自動車と同様に完済まで所有権が販売店に残っていることがあるため、ローンを返済中だと、場合によっては物品を引き揚げられてしまうことがあります。
5 家族への影響~手続きへの協力~
個人再生の申立てにあたっては、家計の状況を裁判所に報告する必要があります。
この家計の状況というのは、申立人自身の収支だけでなく、世帯全体での収支の状況となりますので、同居されているご家族の収入・支出状況についてもきちんと整理する必要があり、ご家族の協力が必須のものになります。
また、場合によってはご家族の収入を裏付ける資料の提出を求められることがあったり、申立人以外が公共料金を支払っている場合には、支払っている方の通帳明細の提出を求められたりすることもありますので、個人再生手続きを円滑に進めるためにはご家族の協力を得られる状況を作っておくことが望ましいです。
個人再生で債務を返済する期間
1 個人再生とは
個人再生とは裁判所を通して行う法的債務整理手続の1つであり、債務が払えなくなった場合に、債務額や財産の総額、可処分所得等に応じて総債務額を減額し、その減額した債務を以後支払っていくという手続きになります。
2 返済期間
再生計画の認可後3年間で支払うことが原則となります。
毎月もしくは3か月に1回の返済を3年間続ける形になることが多いです。
返済計画は3年を下回る内容とすることはできないものの、返済期間中に収支状況の変化等により、残額を一括で返済できる状態になった場合には、3年の経過を待たずに一括で返済するということも可能です。
相続によりまとまった財産が入った場合や、退職金の入金があった場合などが考えられます。
3 返済期間の延長
3年間で支払っていくことが難しい場合には、個人再生はあきらめざるを得ないのかというと、そんなことはありません。
3年間で支払っていくことができないような「特別の事情」がある場合には、5年を超えない範囲であれば弁済期間を延長することができると法律上認められています。
したがって、継続的な収入はあるが、必要な生活費や、住宅資金特別条項を定める場合の住宅ローンの支払いを控除すると、3年間では減額された金額を支払っていくことが困難であること、他方で延長すれば再生計画案の履行の見込みがある場合には4年間や5年間での分割払いができることになります。
なお、この「特別の事情」については比較的広く認めていくというのが裁判所の運用であるため、毎月の家計の収支に照らして36回(3年)払いだと返済が難しく、48回(4年)や60回(5年)払いであれば払っていくことができるという客観的状況があれば、基本的には裁判所は4年ないし5年払いの再生計画を認めることがほとんどです。
4 個人再生を考えている方へ
個人再生ができるかどうかは、法律に従って減額された債務について、きちんと返済していくことができるかどうかで判断されることになります。
そもそも、個人再生を行った場合に債務額がどこまで減額されることになるかは、計算が難しくなることも多いため、自分自身で判断することは得策ではありません。
また、個人再生手続以外にも任意整理や自己破産といった債務整理手続が存在するため、本当に個人再生が適切なのかについてもよく吟味する必要があります。
そのため、個人再生をお考えの方は、まず弁護士にご相談いただくのが良いです。
弁護士法人心 東京法律事務所では、個人再生の相談について無料で承っております。
個人再生手続の経験が豊富な弁護士が対応させていただきますので、個人再生をお考えの方は、当法人までお気軽にご連絡ください。
個人再生手続きを行うのに必要な費用
1 はじめに
個人再生手続きは、住宅ローンが残っている自宅不動産をそのまま保有しつつ、住宅ローン以外の債務の負担を大幅に減らすことができるなど、一定の財産を手元に残しながらも借金を大幅に減らすことができる手続きです。
ここでは、その個人再生手続きを行うのに必要な費用についてご説明します。
2 弁護士報酬・実費
個人再生手続きの依頼には、弁護士費用(弁護士報酬)の支払いが必要となります。
具体的な弁護士報酬の金額はケースバイケースですが、30万円~50万円程度となることが多いかと思います。
住宅ローン特則付きの個人再生なのかどうか、債権者数がどのくらいあるのか、また保有している財産の内容等によって、手続にかかる労力が変わってくることから、そうした点を踏まえて金額は決定されます。
また、弁護士報酬とは別に、手続を行うにあたっては郵便切手代や謄写料(コピー代)などの実費も必要になります。
実費代もケースによりけりですが、数千円から数万円程度になることが多いかと思います。
3 再生委員の費用
東京地方裁判所で個人再生を申し立てると、再生委員が必ず選任されます。
そして、この再生委員に対する費用は別途準備する必要があります。
再生委員の費用は基本的に15万円となります。
東京地裁では、この15万円を申立時に一括支払うという形ではなく、申立後の履行テストにより積み立てるお金の中から支払うという運用がとられています。
履行テストとは、今後きちんと返済していくことができるのかどうかを確認するために、再生計画が認められた場合に支払うことになる予定の金額を、毎月分割で積み立てていくという手続です。
上述のように、再生委員の費用は履行テストで支払った金額の中から賄われることになりますので、特段申立てまでに準備しなければならない費用ではないということになります。
4 官報公告費・印紙・予納郵券
個人再生手続きでは、自己破産と同様、官報公告費が必要となります。
また、申立書には1万円の収入印紙を貼付する必要があり、予納郵券及びあらかじめ切手を貼付した封筒の準備も必要です。
これらの費用に、やはり数万円程度要するということになります。
5 終わりに
個人再生手続きを行うのに必要な主な費用は、以上となります。
先述したように、すべての費用を申立てまでに準備しなければならないわけではありません。
また、申立てまでに必要な費用についても、弁護士に依頼する時点で一括払いしなければならないわけではなく、分割での支払いも可能ですので、費用の準備が心配な方につきましても、まずは一度弁護士にご相談いただければと思います。
あらゆる方法を考え、またそれぞれの方法に伴うリスクを検討し、依頼者の方に最も適した形での費用のご準備の方法をご提案いたします。
弁護士法人心は個人再生の取り扱いが豊富であり、過去の経験に基づいて的確にご対応させていただきます。
東京で個人再生をお考えの方は、弁護士法人心へお気軽にご相談ください。
小規模個人再生と給与所得者等再生
1 利用要件の違い
個人再生手続には、小規模個人再生と給与所得者等再生があります。
小規模個人再生では、将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあることが必要ですが(民事再生法221条1項)、給与所得者等再生では、給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者であって、かつ、その額の変動の幅が小さいと見込まれることが必要です。
つまり、将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがある方のうち、さらに限定された一部の方が給与所得者等再生を利用するための要件にもあてはまるということになりますので、給与所得者等再生手続は小規模個人再生手続の特則という位置づけになります。
2 最低弁済額の違い
小規模個人再生では、再生計画案に定める計画弁済の総額(再生手続の結果返済していくことになる金額)は、①法律の規定にしたがい再生債権総額により決まる金額、または②清算価値保障原則(再生債務者が有する財産以上の金額は返済しなければならないという原則です)により決まる金額のうち大きい方の金額以上でなければなりません。
分かりにくい表現ですが、①は多くの場合借金の総額の5分の1の金額になると考えてください。
例えば、再生債権(借金)の総額が600万円の場合、①の金額はその5分の1である120万円となります。
しかし、もし再生債務者の方に150万円の財産があった場合は、②の金額が150万円となるため、再生計画案に定める計画弁済の総額は金額の大きい150万円の方となります。
他方、給与所得者等再生では、この①と②の条件のほかに、③可処分所得の2年分以上の金額、という基準が加わります。
可処分所得とは、年収額から再生債務者およびその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持するために必要な1年分の費用(必要生活費)を控除した額です(詳細は該当の項目を参照してください)。
必要生活費は、住んでいる地域やご家族の年齢等により自動的に算出されます。
③の金額は、①および②により決まる金額より大きくなることが多いため、結果的に小規模個人再生よりも給与所得者等再生の方が返済する金額が大きくなる傾向にあります。
特に、一人暮らしや共働きの場合で扶養家族がいない場合は、その傾向が顕著です。
3 手続の違い(書面決議の有無)
小規模個人再生では、再生計画案について再生債権者による書面決議があります。
この書面決議で、再生債権者の半数以上が不同意の回答をした場合、または不同意の回答をした再生債権者の議決権の額(再生債権の額によって決まります)が議決権の総額の2分の1以上の場合は、再生計画案は否決されることになります。
他方、給与所得者等再生では、このような書面決議の手続はありません。
したがって、債権者が再生計画に反対する可能性が高いということがあらかじめわかっている場合には、給与所得者等再生を選択したほうが良いというケースもあります。
4 手続の選択
上述のとおり、給与所得者等再生よりも、小規模個人再生の方が、通常、返済額は少なくなりますので、書面決議で否決されるおそれがない場合は、小規模個人再生を選択するのが通常です。
実務上も、個人再生として申し立てられる案件の多くは小規模個人再生です。
しかし、小規模個人再生手続における書面決議に確実に反対する再生債権者が存在し、その再生債権者が反対することにより再生計画案が否決される可能性がある場合は、給与所得者等再生または破産(給与所得者等再生で見込まれる返済総額では返済が困難である場合)を選択することになります。
債権者が反対するかどうかについて、事前に判断することは容易ではないですが、貸金業者ごとに傾向はありますので、弁護士によく相談してみることをおすすめします。
個人再生の必要書類
1 個人再生の必要書類
債務整理の手段の一つである個人再生は、自己破産と同様に再生債務者の住所地を管轄する地方裁判所で行われる手続です。
ここでは、東京地方裁判所を念頭に、弁護士に依頼して個人再生を申し立てる際の必要書類についてご説明します。
2 申立書類一式
東京地方裁判所において、申立て時最低限必要な書類とされているのは、以下のものです。
①申立書(正本・副本)、②債権者一覧表(正本・副本・債権者の人数分の写し)、③収入一覧及び主要財産一覧(正本・副本)、④住民票の写し(マイナンバーの記載がないもの。発行日から6か月以内の原本と副本)、⑤代理人に依頼して申し立てる場合は委任状。
住民票は原則として依頼者の方に取っていただく必要がございますが、それ以外の書類は、債権者から届いた債権調査票や依頼者の方に用意いただいた資料等を基に弁護士が作成します(もちろん委任状への署名捺印は依頼者の方に行っていただく必要があります。)。
3 添付書類
東京地方裁判所において、申立て時または申立て後速やかに提出することが望ましいとされている書類は以下のとおりです。
①財産目録、②清算価値チェックシート(①と②は民事再生規則14条1項で定められている添付書類です)、③確定申告書の写し、源泉徴収票その他の再生債務者の収入の額を明らかにする書面、④住宅資金特別条項を定める場合の住宅及び同敷地の登記事項証明書(発行日から3カ月以内の原本で、共同担保が設定されている場合は共同担保目録付きのものが必要です)、⑤家計全体の状況(直近2カ月分)。
③の具体的な内容ですが、小規模個人再生の場合は、ⓐ確定申告書の写し、源泉徴収票、課税証明書又は所得証明書(直近1年分で、いずれもマイナンバーの記載のないもの)、ⓑ給与明細書(直近2ヵ月分、マイナンバーの記載がないもの)が必要です。
給与所得者等再生の場合は、確定申告書を除いたⓐ(ただし課税証明書又は所得証明書は2年分必要です。)、ⓑのほか、ⓒ可処分所得額算出シートが必要です。
このうち、①,②、③のうちⓒの可処分所得チェックシート、および⑤は、依頼者の方にご用意いただいた資料や家計簿等を基に弁護士が作成します(④の登記については、誰でも取得することができますので、通常は依頼を受けた弁護士が取得します。)。
⑤については、日常生活にかかわってくることですから自分自身にしか正確な内容はわかりませんので、弁護士任せにすることなく、きちんと自身の家計を把握する必要があります。
4 疎明資料
ここまでの内容を見ていくと、多くの書類を弁護士が準備するように見えるかもしれません。
ある意味では正しいのですが、上述した家計表のように、その書類を作成するための情報は債務者自身が提供しなければなりません。
例えば、財産目録については、その財産の内容を疎明する資料が必要です。
資料をもとにして、弁護士が財産目録を作成することになります。
預貯金については預貯金通帳のコピーや預金取引明細書(申立前2年分の通帳または明細が必要です。)、保険については保険証券及び解約返戻金見込額証明書の各写し、不動産や自動車については査定書(自動車については自動車検査証または登録事項証明書の各写し)、退職金については勤務先が作成した退職金計算書(なお、退職金規程等を基に退職金を算出できる場合は、算出金額について説明した弁護士の書面と、算出の根拠となった退職金規程等の写しでも大丈夫です。)等です。
預貯金通帳は、2年分の履歴となると場合によっては相当な量になります。
中には一見して内容がよくわからない取引も出てくることも多いので、それについては申立時にあらかじめ内容を説明することが望ましいです。
また、住宅資金特別条項を設定する場合には、住宅ローンの契約書一式等が必要になります。
どのような資料が必要になるのかにつきましては、依頼者の方の財産状況等によってケースバイケースとなりますので、依頼した弁護士に確認するのがよいでしょう。
個人再生委員とは
1 東京地裁に個人再生を申し立てると必ず選任される
個人再生を申し立てた際に、個人再生委員が選任されるのは、事案が複雑な場合など例外的な場合だと説明されることが多いですが、それは東京以外の裁判所に申し立てた場合の話になります。
東京地裁に個人再生を申し立てると、全件で個人再生委員が選任されることになります。
2 個人再生委員はどのような立場なのか
個人再生委員は、裁判所によって選任される弁護士です。
その役割としては、裁判所の補助をすることはもちろんですが、第三者的視点から債務者に対しての監督、指導を行うことも求められています。
申し立てる側からみると、全面的な味方とはいえないものの、敵対的な立場にあるわけでもないといえるかと思います。
参考リンク:裁判所・個人再生手続について
3 個人再生委員とどのように接することになるのか
東京地裁に個人再生の申立てをすると、数日以内に裁判所が個人再生委員を選任します。
そして、選任からできるだけ早い段階で(おおむね申立てから1,2週間以内に)個人再生委員との面談を行うことになります。
この面談は、通常申立人本人と代理人である弁護士が、一緒に個人再生委員の事務所に赴いて行われます。
面談時に話す内容は、一概に言えないものの、申立てに至る経緯の確認や、今後の返済の見通しなどを中心に質問がされることが多いです。
給与収入を得ている方と比べると、役員報酬で収入を得ている方や、自営業をされている方の方が、収入状況についてより踏み込んだ話がされることが多いと思います。
面談に要する時間も人それぞれではありますが、特に問題となる点がなければ30分以内に終わることが多いです。
また、個人再生委員が選任されない場合と異なり、いわゆる履行テスト(再生計画が認可された場合に毎月支払っていくことになる金額を、本当に支払っていくことができるかどうかのシミュレーション)にあたる毎月の支払いを個人再生委員の口座に対して行うことになります。
これ以外には、申立人本人が個人再生委員と直接接する機会はあまりありません。
基本的には代理人弁護士と個人再生委員との間でやり取りが行われるので、個人再生委員から指示がある場合でも、個人再生委員から直接連絡が来るのではなく、依頼している弁護士を介して連絡がなされることになります。
4 個人再生委員がつくと手続きが難しくなるのか
一見すると、個人再生委員が必ず選ばれることになる東京での個人再生は、他の地域の個人再生よりも複雑に感じてしまうかもしれません。
しかし、上述したように、個人再生委員は必ずしも申し立てる側にとって敵対する立場というわけではなく、手続きが適切に進められていくための指導・監督をしてくれる存在でもあり、ある意味では手続きをきちんと完結させるための味方でもあります。
したがって、個人再生委員が選任されるからといって、過度にこれを気にする必要はなく、代理人である弁護士や個人再生委員の指導にきちんと応じれば、問題なく手続きを進めていくことができます。
個人再生委員が選任される東京での個人再生が、他の地域での個人再生と比べて、認可を受けるのが難しいということはないといってよいでしょう。